strawberry candle 15 ページ16
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それから私は三日後に退院することになった。
その間に、バイト先の“松岡さん”と“店長”、
それからお友だちの“赤坂理子ちゃん”が
お見舞いに来てくれて。
その時もあの妙な感覚は残っていた。
“この人のことを私は知ってる”
“でもどんな人かわからない”
“顔と名前が一致しない”
集団でドッキリでもされてるのかというくらい
訳がわからなかったけど、
みんな私が名前を思い出せないのを見て
悲しそうにするから恐らく知人ではある。
退院の日、“三橋くん”は来なかった。
医師「つまり、雪城さんは事故のショックのせいか、自分と相手がどのように関わってきて、その人がどういう存在なのかを覚えていません」
赤坂「記憶喪失、ってことですか?」
医師「いえ、覚えてはいます。
ただジグソーパズルをひっくり返してしまった
みたいにバラバラになっている状態です」
伊藤「じゃぁパズルが揃えば……」
医師「きちんと思い出すと思います」
病院のロビーで二人が会話してるのを聞きながら、
私はなんとなく金髪を探していた。
結局あの日以来来てはくれなかったけど、
どうしてるんだろう。
赤坂「それじゃぁAちゃん、帰ろっか」
「うん。……どこに?」
赤坂「とりあえず落ち着くまで私の家に来てもらおうと思って」
「わかった。お世話になります」
伊藤「Aちゃん、何かあったらすぐ言ってね。
俺たちなんでも力になるから」
「うん。ありがとう」
伊藤くんも理子ちゃんもとっても優しい。
それに安心感もある。
良かった。
この二人が一緒にいてくれて。
「……あ、その前に私の家に寄ってもいい?
大家さんに事情説明したいし、
あと色々探したくて」
伊藤「探す? なにを??」
「お医者さんがね、思い出の強いものとか見たら
思い出しやすくなるって教えてくれたの」
伊藤「そっか。あ、家の場所は……」
「なんとなく分かるから大丈夫」
病院の外に出てみると、
外はまるで夏の空のように青かった。
澄んだ空気が冷たくて、鼻がツンと痛い。
私が事故に遭ったのは大雨の日だったっけ。
なんだか馬鹿にされてるみたいだ。
「あ、今日って何日だっけ」
赤坂「12月21日だけど……」
「よかった、間に合った」
伊藤「何に?」
「え?……あれ、なんだっけ」
何か大事な約束があった気がするんだけどな。
……なんだったっけ。
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Runa - めっちゃこのお話大好きです！応援してます！！！ (2021年6月9日 1時) (
レス) id: cf36c57a0e (このIDを非表示/違反報告)
りゅうの - めちゃめちゃ面白かったです!! (2020年3月22日 17時) (レス) id: c1d7a041f7 (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - 素敵です。 (2019年1月29日 20時) (レス) id: ed675bb7df (このIDを非表示/違反報告)
月崎伊吹(プロフ) - ずっと気になってた作品で、今日やっと読むことが出来ました。とても面白かったです!なんと言うか……深い作品でした。これからも頑張って下さい。(ちなみに私の学校、クリスマスが終業式の日でした) (2019年1月7日 14時) (レス) id: 275071a833 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - ぺっぱーさん» コメントありがとうございます(*´ｪ`*)本当ですか！笑笑とても嬉しいです(≧∇≦) (2019年1月7日 12時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神室紫雨
| 作成日時：2018年11月16日 19時
