situation (ページ40)

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このままじゃ家に着いちゃうし、俺も男。

注意ぐらい出来る。

思いっきり後ろを向く。

誰かと思って〝止めてください！〟
そう言おうと思ったのに…。

「……え、向井さん？」

先程別れたはずの向井さんが。

「うん！向井です！」

「いやあの……うんではなくて…。
どうして付いてくるんですか？」

「え？目黒くん〝帰りませんか〟言うたやん。だから、帰ってんの」

………勘違いなの？

それとも……ただの馬鹿なの？

同じ家に帰ろうって
言った訳じゃないんだけどなぁー、、、

「向井さんって……自分の家ないんですか？」

「無いで。自分の家、ない。
だから…目黒くん家住まわせて欲しい！」

「はぁーー？」

この人は本当に……何を言ってんだか…。

家がないなんて可笑しいでしょ。ホームレスとかならあれだけど、服装はしっかりしてる。

薔薇の花束も買える。

……かと言って
嘘を言う人には見えない…。

「……分かりました。来ても良いですよ。あ、
けど！お家…見つけて下さいね？」

「ありがとう！！めちゃくちゃ感謝！」

満面の笑みでそう言った。

100％の笑顔のはずなのに…どこか触れたら今すぐにでもなくなってしまうようだった。

家がないと言う理由も、何処か儚げですぐにでも消えてしまいそうな理由も、一緒に暮らして行く中で分かるようになる。