●第5話 ページ6
『ふ、振り向かせる！？まだ好きかどうかもわかんないのに･･･！？』
焦る私を見て、また沙季がポカンとする。
「いやいや、もう好きだって☆」
『だっ、だって男子と話すのが久しぶりだから緊張してるだけかもしれないし･･･！！』
ドキドキだって、恋じゃなくて緊張かもしれない
沙季は私の主張など聞く気はないようで、三ツ谷くんを振り向かせる作戦を考え始める
「まずはイメチェンね！そのお下げと丸眼鏡やめなさい」
『え･･･それは、ちょっと･･･。』
「なーに言ってんの！そんなガリ勉ちゃんスタイルで三ツ谷くんはおとせないわ！！中学生でそれはイジられる格好よ？」
確かに眼鏡は伊達だから外しても問題はないけど、この格好しているのは理由があるんだけどなぁ･･･。
なんて言おう･･･。
『うぅ〜。あ、ほらチャイムなるから教室戻ろ？』
友達から逃げて教室に入る。自分の席に座ってため息をそっとつく。
恋愛とかしたことがないから、こんなことで好きになるなんてちょろい女だな〜って自分でも思う。
でも、もっと三ツ谷くんのことちゃんと知りたい
1日話しただけで、これからも話しかけられるのはウザくないのかな？
三ツ谷くんは困ってる人がいたから手を差し伸べただけで、それだけで好意を寄せられるのは迷惑じゃない？？
そんなネガティブな思考がグルグルと頭を支配される。
パッと顔を上げると三ツ谷くんと目があう。
ニッと笑ってそっと手を振ってくれる。
え、
手 ふ っ た
三ツ谷くんが。
さっと顔を覆う。きっと今は顔がゆでダコのように真っ赤だろう。
ズルい。ズルい。ズルい。
『もう、好きだっ･･･』
この恋を自覚するのに時間はいらなかった
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作者名：sino | 作成日時：2021年7月20日 15時
