●〇？？？〇● ページ42
真夜中、ふと目を覚ますと隣で寝ていたはずの人がいなかった。
目を擦りながら探すとベランダに立って夜空を眺めていた。
「寝れねぇの？」
「うん。ちょっとね」
寂しそうに笑った顔は月明かりに照らされて綺麗だった。
手を伸ばせば届く距離にいる。
触れたくてもずっと触れられなかった。
頬に手が触れると目から綺麗な涙がこぼれ落ちる。
「･･････どうして泣く？」
「どうしてだろうね･･･？あなたが触れてくれるのが、嬉しいからかな」
「･･････そっか」
拭ってやると嬉しそうに笑いながらまた涙を零す。
俺がこんな思いをしたのは、君をこんなに悲しめたのは、全部アイツのせいだ。
アイツさえ、いなければ俺らは苦しまなかったんだ。
「･････････敵を早く排除しないとな」
「････････････」
俺の言葉に君はピクっと体を強ばらせる
「なに？不満？？それじゃ、俺の敵に･･･！」
敵になる？って聞こうとした途中で君が腕の中に入ってきてくれる
そうだよ。俺の味方はいつも君とあいつだけ。
「いつも言ってる！なにがあっても、あなたの味方だって！！だから、だからっ！！」
「そう？大丈夫だよ。君が敵になることなんて百歩譲ってもありえない話だよね」
予想通りの答えに口角が無意識にあがる。
ガタガタ震える君の体を優しく包み込んで安心させると、震えが止まる
「あなたも、ずっと一緒にいて。約束だからね、一虎」
“約束”でお互いを縛り合う。
はたから見たら共依存してる関係。
それでも俺らはこれでお互いの心を守ってきた。
「ほら、ベッドに戻ろうぜ。いっぱい愛してやるから」
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作者名：sino | 作成日時：2021年7月20日 15時
