●第39話 ページ40
「埋め合わせにこれやりたくてさ」
たかくんが出したのは手持ち花火だった
「夏祭りみたいにド派手にはできないけどよ」
『大きい花火より手持ち花火の方が好き』
2人っきりの花火大会が始まる。
どれも色鮮やかでとても綺麗だ。
『みんなと花火やったりするの？』
「ないない！俺らが集まって花火とか危険だろ！場地とか何やらかすかわかんねぇし」
『それもそっか。でもワイワイ遊ぶのも似合うよね』
「めっちゃくちゃ楽しいからどんどん悪ノリして危険になっていくんだよ」
何だか想像がついちゃうから東卍のみんなと仲良くなれていけてる証拠なのかな
『あ、線香花火もある！私、1番好き』
「そうなのか？」
『だって、儚げだけど手持ち花火の中で1番表情が豊かなんだよ』
「確かに線香花火が1番変化するもんな。最後まで行けばの話だけど」
『5段階を植物に例えられてるのも日本らしいよね』
線香花火に火をつける。
それをたかくんと2人でみつめる
『まずは蕾をつけて』
『強く火花が飛び出す様子は美しく咲き誇る牡丹のように』
『四方八方に激しく飛び散る多くの火花は直線的な姿で密集する松葉のように』
『火花が細くなって垂れ下がっていくのは柳のように』
『そして、最後まで美しく咲きながらも花弁をひとひらずつ落としてゆく菊の花のように散る』
ポトッと火花が散って周りが暗くなる
「よく知ってるな」
『昔好きすぎてググったの』
意味を知ってからより綺麗に見えるようになった
『ね、たかくん勝負しよっか』
「･･･負ける気しかねぇ」
『線香花火のプロって呼んでもいいよ』
2人で火花をつけてスタートする
この無言の時間も好きだな
「あんまやったこと･･･ないから･･･あ」
『ふふっ。私の勝ちだね』
「あー･･･喋んなかったら良かった」
しばらくすると私のも火花が散る
『ご褒美ちょうだい』
「いいよ、何がいい？」
『ーーーーーーーーー』
「･･････！わかった。」
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作者名：sino | 作成日時：2021年7月20日 15時
