Rain sound 【三ツ谷隆】 (ページ4)

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〇第3話ページ4

やってしまった。

妹にやる癖で頭ポンをしてしまった。

昨日、やっと･･･やっとはじめて話ことができたのに。
警戒されては元の子もない。

灰谷のことを気になり始めたのは中学2年生の時からだった。

はじめてあった時も雨が降っていた。

雷がなりそうでルナとマナが泣かないかななんて考えながら帰ろうとしたときだった。

「えっ？Aほんとにいいの？傘借りちゃっても」

『うん！私2本持ってるから！ほら、他校の彼氏さんと待ち合わせしてるんでしょ？せっかく可愛くセットしたんだから、雨に濡れちゃったらもったいないよ』

「ありがとう！じゃあ、月曜日返すから！！」

友達に笑顔で手を振って見送ったあとに、雨の中何もささずに歩き出す。

ハッとして傘を差し出そうとしたが、彼女は走って行ってしまった。

それからは、廊下ですれ違うだけでも彼女に目が惹かれた。

違うクラスだったから、廊下を歩いている時とかに無意識に探したりもした。

そして、中学3年生になってクラス替えの表を見て、彼女と同じクラスだとわかるとにやけてしまった。

でも、せっかく同じクラスになったのに、話すきっかけが見つけられなくて、一言も話さずに時間だけが過ぎていった。

東京卍會の弐番隊の隊長であるということも、話しかけられずにいた。彼女はもしかしたら『不良』が嫌いなタイプかもしれない。

俺の都合だけで、彼女を危険な目に合わせるわけにはいかない。

そんな考えが頭を占めてきたときに、チャンスが訪れた。

雨の日、彼女が傘を持ってきていなくて誰もいないクラスに残っていた。

この日、雨と折りたたみ傘に感謝した。