●第19話 ページ20
『ふぁ』
ピピピピとけたたましくなる電子音を止めて伸びをする。
顔を洗ってパジャマから制服に着替える。
昨日使った教科書とノートを引っ張り出して、今日使う教材をカバンに突っ込む。筆箱も忘れずに。
チンっとトースターから飛び出した食パンに目玉焼きを乗っけて放置。
熱いから舌やけどしちゃうからね。
冷ましている間に髪を結う。
時間がかかっていた三つ編みも今はすぐに結えるようになった。
そして伊達メガネをかけてから両手を合わせて朝食。
半熟の目玉焼きを焼くのも上手になったな〜なんて思いながら食す。
今日から7月。梅雨も終わって暑さが本格的になってきた。
でも、もう少しで夏休みだ！
『いってきます。』
誰もいない家に呟いて鍵を閉める。
“いってらっしゃい”の聞こえないのにももう慣れてしまった。
前までは言ってくれる人がいたのに。
いつも通りの通学路。暑いのに小学生は今日も元気いっぱいに走っている。
「あっー！ゆなとこーやが手つないでる〜！」
「ラブラブだ〜！！フューフュー！！」
「はぁっ！？これは！ちげぇーし！！」
･･････小学生でカレカノとか、はやくない？？
私が小学生の頃なんて、遊ぶことしか考えてなかったけど！？
「A〜！おっはー！」
沙季が後ろから抱きついてくる
『さ、沙季！おはよう。でも暑いから離れて』
「えーウチの愛のハグ断るのー？あーあ、これだから夏はいやね〜。彼氏にも暑苦しいって言われるし〜」
『えっ、道端で彼氏にも抱きつくの？』
「ん？ふつーじゃない？腕もくむし」
えぇぇ！？それがカレカノの普通なの！？
もしかして私めちゃくちゃ遅れてる？？？
「まーAは三ツ谷くんと恋人になるところからだよ！」
あ、そう言えば沙季に報告するの忘れてた･･･。
まぁ、土日会わなかったし仕方ないよね。
『あ、あのね沙季、じつは･･･』
「あっ！そーだ！！今日の宿題さ、ちょうど当たるとこわかんなくて、教えてくれない？」
『え？あ、うん。いいよ？』
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作者名：sino | 作成日時：2021年7月20日 15時
