●第16話 ページ17
三ツ谷くんはバイクを押して隣を歩いてくれる。
だけど、何を話していいのか分からなくて無言の時間が続いている。
どうしよう・・・せっかくドラケンくんがチャンスをくれたのに・・・!
ひとりで悶々としていると、
「あ」
という三ツ谷くんの呟きと共に頬に冷たい粒がポツと落ちてくる
『えっ!雨?』
雨はそのまま強くなってきたため、2人でとりあえず軒下に入って雨宿りをする。
『結構降ってきたね・・・。他のみんなは大丈夫かな?』
「雨でもあいつらはコール鳴らして走ってるよ」
にっと笑いながら仲間の話をする三ツ谷くん。
好きだな・・・。
『こういう日に限って雨具持ってないんだよね・・・』
今日は早めに帰る予定だったから折りたたみ傘なんて持ってないし、三ツ谷くんもバイクで走るつもりだったから持ってきてないよね。
「俺らが話すきっかけになったのって雨のおかげだよな」
『・・・うん。私が傘持ってなくて、三ツ谷くんが貸してくれたんだよね』
「あの日、折りたたみ傘と雨に感謝したんだ。こうして灰谷さんと話せるようになったから」
笑ってこっちを見てくれる三ツ谷くんに勝手に言葉が零れていた。
『私も、あの雨がきっかけで三ツ谷くんのこと好きになりました。』
三ツ谷くんが目を見開く。
そりゃそうだ。傘を貸しただけで人に好かれるなんて思わないよね。
でも、あれは一目惚れみたいなものだ。
「・・・マジ・・・・・・?」
赤くなった頬を隠すように俯きながら何とか頷く。
私、振られちゃうのかな・・・
目をぎゅっとつむっていると暖かいぬくもりにフワッと包まれる
「これ、夢じゃないよな?灰谷が俺のこと好きって言ってくれたの・・・」
『み、三ツ谷・・・くん?』
え、三ツ谷くんに抱きしめ・・・られて・・・!?
「俺も・・・・・・俺も好き。だから、俺の彼女になって?」
『え』
お れ も す き ? か の じょ に・・・?
『はいっ!三ツ谷くんの彼女になりたいですっ!』
私からも思いっきり抱きつく。
雨の日に一目惚れした恋が雨の日に叶いました。
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作者名:sino | 作成日時:2021年7月20日 15時