Rain sound 【三ツ谷隆】 (ページ12)

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●第11話ページ12

「おはー」「おはよー」

朝のHR前、色々なところで挨拶が交わされている。

いつもよりドキドキしているのは前の席が三ツ谷くんだから。

それに、今日はメモ文通で聞くんだ･･･
“ 好きな人いる？”って･･･！！

早く来て欲しいような、来て欲しくないような･･･

「灰谷さん、おはよう」

『み、三ツ谷くん！おはよう』

席につくとこっちを向いて他愛のない話をしてくれる。

三ツ谷くんから主に出てくる話は妹さんたちのことだ。

凄く優しい顔で話してくれるから、本当に妹さん達が大好きなんだなって伝わってくる。

そして、1時間目の地理の時間が始まる。

先生はおじいちゃんでぽわ〜としていてマスコットキャラクターみたいで生徒には人気のある先生だ。

昨日、あらかじめ用意しておいたメモ用紙を三ツ谷くんにこっそりと渡す。

･･･なんて返事がくるのかな･･･？

ドキドキしすぎて先生の話している授業内容なんて耳に入ってこない。

スっと静かにメモ用紙が置かれる。

これに答えが書いてある･･･。三ツ谷くんに好きな人がいるのか、いないのか。

震える手で4つ折りの紙を開くと

【いるよ】

の3文字。

三ツ谷くんには好きな人がいるんだ･･･。

あぁ、どうしよう。凄くショックだ。

自分でも気づかないうちに三ツ谷くんのことすごく好きになってたんだ。

ごめんね三ツ谷くん。素直に頑張れって応援できないよ･･･。

1人で悶々としていると、追加でメモ用紙が置かれる。

開いてみると【俺の好きな人はこのクラスの人だよ】

そう書かれていた。

このクラスには三ツ谷くんと同じ手芸部の人はいないし、三ツ谷くんが女子と話しているのも見たことない。

え･･･じゃあ誰なんだろう？三ツ谷くんの好きな人って

1日、この謎と向き合うことになったのだった。