●第1話 ページ2
ざあぁぁと雨が降っている音がする。
窓に叩きつけられる雨音が段々強くなってきたなぁと窓の外を眺める。
朝は晴れていたのに突然の雨。
今帰ったらずぶ濡れだなとため息をつく。
天気予報では1日中晴れだと言っていたのに・・・
天気予報を純粋に信じた私は傘など持ってきてはいなかった。
雨はどんどん強くなっていって止む気配はない。
はぁと深いため息をついた瞬間、ガラガラと音を立てて教室のドアがあいた。
「・・・わあれ?・・・灰谷・・・さん?」
先客がいると思っていなかったのか私の姿を見てポカンとしている人物が立っていた。
『三ツ谷くん。どうしたの?』
三ツ谷くんはクラスメイトだが、話すのは初めてだ。
席が近いわけではないし、私も彼もクラスメイト全員と話して目指せ友達100人!というタイプではないからだ。
東京卍會という不良グループの一員で、手芸部の部長さんといわゆるギャップを持つ人だ。
「置き傘取りに来た。灰谷さんは帰んないの?」
ほらこれという感じで体育の時に使うジャージのカバンから折りたたみ傘を出す。
用意周到だなぁ・・・
『帰ろうと思ったら雨が降ってきたからどうしようか考えてた所なの』
「傘ねぇの?」
『だって、天気予報は晴れって言ってたんだよ!?なのにこんな土砂降りになるなんて聞いてない』
「あー・・・じゃあ、これ貸すわ」
ほいと折りたたみ傘をこちらに差し出す三ツ谷くん
『へっ・・・・・・。いやいや!三ツ谷くんが濡れちゃうでしょ!?』
「俺は雨の時でもバイクで走ったりするから平気」
ニカッと笑いながら私に折りたたみ傘を握らせる
「じゃあ、また明日な」
私が返そうとする間もなく三ツ谷くんは走って行ってしまった。
『・・・・・・えぇ?行っちゃった・・・』
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作者名:sino | 作成日時:2021年7月20日 15時