Do you stil … (ページ28)

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タクシーが捕まらなかったのでとりあえずある程度のところまで走ることにした

『……玲於？くん？』

信号待ちをしている俺に誰かが話しかける

ファンか？

やめろ

時間が無い上にファンなんて

『玲於くんだよね？』

しつこい

横目で様子をうかがう

玲於「Aさん！！」

『よかった笑人違いかと思った笑』

玲於「すいません」

『いやいや笑あの、これ』

……！！！

玲於「これっす」

Aさんの手から小さな箱を受け取る

『玲於くんのだよね？』

玲於「はい」

『ごめん、すぐ確認すればよかったのにさっき部屋の掃除した時に見つけて』

玲於「いえ、ほんとによかったっす。マジ焦った」

『やっぱり笑』

玲於「え？」

『すごく大切なものなんじゃないかと思った』

玲於「まぁ…」

『家に置いてくなよー笑』

玲於「すいません…」

『せめて、その日の内に自分で気づいてよ笑』

玲於「ですよね」

ここのところ本当に忙しくて移動もバタバタで、

必要最低限のものは持ち運んでいなくて、

このピアスを持ち運んだのはAさん家に行った日が最後で今日やっといつものリュックを背負って来た

そして、その中身を確認したらこれだ

俺ってマジでまぬけかよ。

『大事にして』

玲於「うっす」

『失くなってからじゃ遅いんだから』

玲於「ありがとうございました」

今、Aさんがいつもより綺麗に見えた

差し込む西日のせいか

でも

少し切なそうな顔で、悲しそうで、胸が痛そうで

辛い過去を思い出すかのように

Aさん自身が何かを失ったかのような

そんな

そんな表情だった

- 思いやりくれた夜も君は泣いてたなんて