コイツの主役は我々だ (男主) (ページ13)

今日:2 hit、昨日:11 hit、合計:61,588 hit

看病ページ13

力の入らない体は、グルッペンさんにより支えられていた。

「なんだ、大丈夫ではなさそうやな」

「すみません…」

もう、何が何だかわからない。

必死に立ち上がるが目眩でフラフラだ。

「脱水でも起こしてそうや。ほら、掴まれ。」

腰を抱かれて持ち上げられる。

そのまま、書庫を出るグルッペンさんは、もう怒っているような雰囲気を纏っていなかった。

「ん？なんや、グルちゃん。 A、脱水かいな」

「あぁ、予想通りだ。悪いが薬と水を俺の部屋まで頼む。」

「任しとき」

道中ばったり会ったのは、鬱先生で俺の様子に驚くこともなく、走り去っていった。

「ん？A、意識飛びそうやな。」

目の前に白いモヤがかかったように見えて、目を閉じる。
遠くの方で、グルッペンさんが俺を呼ぶ声が聞こえていた。

ーーーーー

「おーい。Aー。」

頬を軽く叩かれる感覚で意識は浮上した。
黒を基調とした、見慣れない家具やベッドから俺の部屋ではないと判断する。

「なんや、ポヤポヤしとんなぁ。」

目の前のグルッペンさんは、錠剤と水の入ったグラスを俺に差し出した。

「気休めだが、飲んでおけ」

大人しく薬を飲むと、また布団に押し戻される。

「お前、今日はここで寝や」