検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:5,836 hit

第23話 なんでも ページ29

そのままひとしきり泣いた後、涙をふいて、里依紗はごめんね、2人とも、と少し照れくさそうに笑った。

「何を謝ることがあるのよ」

里依紗の頭を由実が軽く小突いた。

里依紗はまたちょっと泣きそうな顔になって、喉をぐっと鳴らした。

でも、さっきの泣き顔とは違う。嬉し泣きみたいな感じの顔だ。

由実に、励まされたんだろうな。

私も何かしたいけど、励ますのは上手くないから……。

「……よし! これから私の家行くか! 」

「え、どうしたの急に」

突然私がそう叫んだので、由実は少し不思議そうな顔をした。

「いいじゃん! 女子会しようよー! パーティーだよパーティー! 」

「んな急な…だいたいパーティーってなに」

渋る里依紗に私は重ねて言う。

「だって、今日はせっかく先生の研修かなんかでみんな部活無いんだからさー、遊ぼうよ! 」

こんな理由で、納得してくれるかはわからないけど。

「ほんと、Aは急だな。でもまあ、いっか。行こ! 」

由実は苦笑いしながらそう言って、里依紗の手を引っぱって歩きだした。

「行こー! 」

私も2人の背中を押すと、横に並んで歩きだした。

「泣きすぎて頭痛い」

里依紗が顔をしかめる。

「じゃあ、家に着いたら、ジュースでもなんでもたーんと飲みなさい、たーんと! 」

「……私の家だけどね」

ニコニコしながら言う由実を、じとっとした目で見て私は返す。

「細かいことは気にしなーい! 」

「細かくないよ! ?」

私たちは、そんな風にわちゃわちゃと騒ぎながら家に向かった。



「……ふう。」

2人が帰った静かな部屋で、お茶を飲みながら息をつく。

みんなで本気のゲーム対戦をしたり、テレビをみたり、漫画を読んだり、すごく楽しかった。

里依紗も、帰るまでずっと笑顔だった。ほっとした。

まあ、それが連れてきた目的だったんだけど。

きっと、里依紗本人にもばれているだろう。私は、そういうことを隠すのが下手だし。

それでもいいんだ。

私には、「恋」はわからない。だから、私は私に分かることで里依紗を励ます。

笑わせられれば、なんでもいい。ばれたっていい。

「A、ご飯よー」

ちょうどいいタイミングで、母親の声がした。

「はーい、今行くー」

考えるのをやめて、私はぱたぱたと階段を降りていった。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←第22話 反応



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.7/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6人がお気に入り
設定タグ:片想い , 初恋   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みーみ(プロフ) - かたつむりさん» ありがとう? (2015年5月5日 1時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり - みーみさん» こっちも評価つけといた! (2015年5月5日 0時) (レス) id: 5586ef4182 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ(プロフ) - エネ©Loveさん» ありがと (2015年3月21日 12時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - みーみさん» 1000hitおめでとう!!!.・☆ (2015年3月20日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - 塩さんさん» wwwwwwww (2015年3月19日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みーみ | 作成日時:2015年2月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。