第23話 なんでも ページ29
そのままひとしきり泣いた後、涙をふいて、里依紗はごめんね、2人とも、と少し照れくさそうに笑った。
「何を謝ることがあるのよ」
里依紗の頭を由実が軽く小突いた。
里依紗はまたちょっと泣きそうな顔になって、喉をぐっと鳴らした。
でも、さっきの泣き顔とは違う。嬉し泣きみたいな感じの顔だ。
由実に、励まされたんだろうな。
私も何かしたいけど、励ますのは上手くないから……。
「……よし! これから私の家行くか! 」
「え、どうしたの急に」
突然私がそう叫んだので、由実は少し不思議そうな顔をした。
「いいじゃん! 女子会しようよー! パーティーだよパーティー! 」
「んな急な…だいたいパーティーってなに」
渋る里依紗に私は重ねて言う。
「だって、今日はせっかく先生の研修かなんかでみんな部活無いんだからさー、遊ぼうよ! 」
こんな理由で、納得してくれるかはわからないけど。
「ほんと、Aは急だな。でもまあ、いっか。行こ! 」
由実は苦笑いしながらそう言って、里依紗の手を引っぱって歩きだした。
「行こー! 」
私も2人の背中を押すと、横に並んで歩きだした。
「泣きすぎて頭痛い」
里依紗が顔をしかめる。
「じゃあ、家に着いたら、ジュースでもなんでもたーんと飲みなさい、たーんと! 」
「……私の家だけどね」
ニコニコしながら言う由実を、じとっとした目で見て私は返す。
「細かいことは気にしなーい! 」
「細かくないよ! ?」
私たちは、そんな風にわちゃわちゃと騒ぎながら家に向かった。
「……ふう。」
2人が帰った静かな部屋で、お茶を飲みながら息をつく。
みんなで本気のゲーム対戦をしたり、テレビをみたり、漫画を読んだり、すごく楽しかった。
里依紗も、帰るまでずっと笑顔だった。ほっとした。
まあ、それが連れてきた目的だったんだけど。
きっと、里依紗本人にもばれているだろう。私は、そういうことを隠すのが下手だし。
それでもいいんだ。
私には、「恋」はわからない。だから、私は私に分かることで里依紗を励ます。
笑わせられれば、なんでもいい。ばれたっていい。
「A、ご飯よー」
ちょうどいいタイミングで、母親の声がした。
「はーい、今行くー」
考えるのをやめて、私はぱたぱたと階段を降りていった。
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みーみ(プロフ) - かたつむりさん» ありがとう? (2015年5月5日 1時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり - みーみさん» こっちも評価つけといた! (2015年5月5日 0時) (レス) id: 5586ef4182 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ(プロフ) - エネ©Loveさん» ありがと (2015年3月21日 12時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - みーみさん» 1000hitおめでとう!!!.・☆ (2015年3月20日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - 塩さんさん» wwwwwwww (2015年3月19日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーみ | 作成日時:2015年2月14日 22時