第15話 本当? ページ19
しばらく眠って目を覚ますと、白い天井が見えた。
体を起こすと、その音で保健の先生が顔だけこっちに向けて、
「あら、気がついた?」
と言った。
ベッドから降りようとした私をとめ、先生がこっちに来て、しゃがみこむと、
「うん、さっきよりは良くなったみたいね」
と笑った。
「寝たらちょっと気分良くなったよ。ありがと、きいちゃん」
「前田先生、でしょ。学校では」
私も笑って返すと、きいちゃんは軽くため息をつきながら言った。
きいちゃんこと前田 貴里先生は、私の近所に住んでいるお姉ちゃんだ。
面倒見が良くて、いつも何かとお世話になっている。
「でもまあ、今日は大事を取って早退した方がいいわね。荷物は寝てる間に水木くんに持ってきてもらったし」
私の顔色を見ながら、きいちゃんはさらっとそんなことを言う。
「え、あ、そうなんだ」
そう答えると、きいちゃんは、
「せっかく来てくれたのに寝てて残念……とか、思ってる〜?」
と顔を覗き込んできた。
「はあ!?そんな訳ないでしょ! 別になんとも思ってない! 」
少しムキになって否定すると、きいちゃんは、なんだ、元気そうじゃない、と言いながら
「本当かな〜?」
とにやにや笑った。
「本当だってば! 嘘つく意味もないし! …もういいよ、帰る! 」
言いながら荷物を持つ。
きいちゃんははいはい、と言いながら立ち上がると、1人で帰れそう?と聞いた。
大丈夫だから、と言って扉に手をかける。
「あ、そうだ、熱さまシートありがとう! ばいばい、きいちゃん! 」
「前田先生、ね。じゃ、無理はしないでね。お大事に」
振り返ってそう言うと、きいちゃんは呆れたような顔で言った。
私はさっきよりはいくらかしっかりした足取りで昇降口に向かった。
「熱さまシートのこと提案したの私じゃなくて水木くんなんだけど…まあいっか」
そうきいちゃんが呟いていたのはもちろん知らなかったけど。
次の週の月曜日。
私は何日かぶりに学校に来ていた。
教室に入ると、すぐに里依紗と由実が来て、口々に大丈夫?と言う。
大丈夫だよ、ありがとう、と答えていると、すぐにチャイムが鳴ったので席に戻った。
進也と目があった。
でも、私は目を逸らしてしまう。
まともに顔を見れない。
……きいちゃんが変なこと言うからだ
だから、顔が熱いのも、きいちゃんのせいだ、
絶対!
それか、まだ、熱があるだけだ……。
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みーみ(プロフ) - かたつむりさん» ありがとう? (2015年5月5日 1時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり - みーみさん» こっちも評価つけといた! (2015年5月5日 0時) (レス) id: 5586ef4182 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ(プロフ) - エネ©Loveさん» ありがと (2015年3月21日 12時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - みーみさん» 1000hitおめでとう!!!.・☆ (2015年3月20日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - 塩さんさん» wwwwwwww (2015年3月19日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーみ | 作成日時:2015年2月14日 22時