第12話 焦る※9,10話別side ページ15
ー進也sideー
キーンコーンカーンコーン……
チャイムの音が鳴り響く。
ねみぃ……
俺はあくびをしながら立ち上がった。
やっと1時間目の授業が終わった。
適当に礼をして、そのまま机に突っ伏す。
この時間は、まだ朝の眠気が抜けきっていなくて、すごく眠い。
いやまあ、どの時間もだいたい眠いけどな。
あーもう、このままずっと寝ててえ……。
半分寝ぼけた頭でそんなことを考えていたら、いきなり、ガタン! という音がした。
ほんの少し顔をあげてみると、斜め前の席のAが、
「っつう…」
と言いながら腰のあたりを押さえていた。
よくよく見れば、Aの顔は赤く、少しとろんとした目をしていた。
熱でもあるのか?
そう思いはしたが、眠気には勝てず、ずるずると眠りに引き込まれていく。
あー、次移動か……でも動きたくない……。
いきなり俺の名前が聞こえたのは次の瞬間だった。
「……よし、水木、ついてってやんな」
……は?
状況がよく理解できていない俺は、とりあえず
「えー、俺っすか?」
と不満気に言っておく。
でも、たぶん、この雰囲気から察するに……。
Aが保健室行くのに俺が付き添ってやれ、ってことか?
ああ、そういや俺健康委員だった……。
俺の……安眠が……。
なんて1人考えている間に話はまとまってしまったらしく、他のみんなは出ていってしまった。
まあ、しゃーないか……。
行くぞ、と言うと、Aは諦めたような顔をしてついてきた。
廊下に出ると、一気に寒さが増したように感じた。
ちらっと隣をみると、小刻みに震えているAがいた。
「どうした?寒いのか?」
と声をかけたが、Aは返事もできないようだった。
歯をカチカチと鳴らす音が聞こえ、表情は青ざめている。
俺は自分の学ランを脱ぐと、Aに着せた。
正直、かなり寒い。
Aも最初は遠慮していた。
でも、誰が見たって、この寒さが辛いのは俺じゃない。
もっと風邪が悪化しても困るし、少しの間だけだし、まあ、たぶん大丈夫だろう。
……たぶんな。
そのままゆっくり歩いていき、階段に差しかかったところで、ガクン、とAの体が揺れた。
うわっ!?
とっさに手を伸ばして腕を掴む。
なんとか落ちずに済んだようで、ほっとする。
「大丈夫か!?ケガないか!?」
慌てて駆け寄ってみると、驚いたような顔はしていたが、ケガはどこにもないようだった。
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みーみ(プロフ) - かたつむりさん» ありがとう? (2015年5月5日 1時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり - みーみさん» こっちも評価つけといた! (2015年5月5日 0時) (レス) id: 5586ef4182 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ(プロフ) - エネ©Loveさん» ありがと (2015年3月21日 12時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - みーみさん» 1000hitおめでとう!!!.・☆ (2015年3月20日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - 塩さんさん» wwwwwwww (2015年3月19日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーみ | 作成日時:2015年2月14日 22時