第11話 熱い 2 ページ14
進也はしゃーない、と呟くと
「ほら、行くぞ」
とこっちを向いた。
鈴ちゃんは2人と一緒に出ていってしまったようだ。
私は諦めて進也に続いた。
廊下に出ると、窓が開いていたのかすごく寒くて思わず震えてしまった。
「どうした?寒いのか?」
震える私を見て、進也は
「これ着てろ」
と自分の学ランを着せてくれた。
「…でも、それじゃ進也が…」
というと、
「気にすんな」
と言ってくれた。
そのまま歩き出す。
あったかいな……。
そう思ったとたん、
ガクン、と体が揺れた。
階段があるのに気がつかず、踏み外しかけてしまっていたみたいだ。
頭がぼうっとしているせいか、あまり恐怖も感じず、客観的に見ている気分になっていた。
あれ?でも、だったらなんで落ちてないんだろう?
不思議に思って後ろを見ると、進也が腕を掴んでいた。
「大丈夫か!?ケガないか!?」
もの凄く焦った顔の進也。
こんな顔、初めて見たかも……。
「ったく、危なっかしいなほんと……ほら」
進也が急に肩をよせてきた。
……え?
「肩貸してやるよ」
「いい……! 」
ふるふると首をふる。
「強がんなって」
「だって……うつるよ?」
「大丈夫だろ」
「……重いよ?」
「そうかもな」
「……ひど」
「お前な……自分で言っといてそれはねえだろ。まあでも、そんくらい平気だよ」
「でも……! 」
そんな押し問答を繰り広げていると、
「あーもう、ごちゃごちゃ言うな! 病人は黙って従え! 」
半ば強引に手を乗せさせると、進也は私を支えるようにして歩き出した。
「……ありがと」
呟くように言うと、
「おう」
と進也は少し笑って返した。
自分のそれより少し高い位置にある肩に手を置いて、ふらつきながらもなんとか歩いた。
やっと保健室についた。
ノックすると、中から保健の先生が出てきた。
「あら、どうしたの?風邪?」
と問いかける先生に、
「だと思います 症状は……」
と進也が答えている。
「そう、分かったわ。神城さんはしばらくベッドで寝てなさい。水木くん、わざわざありがとうね」
私は、
「……ほんとに、ありがとう」
と言いながら、羽織っていた学ランを進也に返す。
「いや、俺は別に。まあ、ゆっくり休めよな」
と言いながら進也は保健室を出ていった。
先生に案内されたベッドに横たわる。
進也が貸してくれた学ランのぬくもりを思い出しながら目を閉じた。
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みーみ(プロフ) - かたつむりさん» ありがとう? (2015年5月5日 1時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり - みーみさん» こっちも評価つけといた! (2015年5月5日 0時) (レス) id: 5586ef4182 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ(プロフ) - エネ©Loveさん» ありがと (2015年3月21日 12時) (レス) id: 3798c6d4c4 (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - みーみさん» 1000hitおめでとう!!!.・☆ (2015年3月20日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
エネ©Love(プロフ) - 塩さんさん» wwwwwwww (2015年3月19日 21時) (レス) id: 6c41e2807f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーみ | 作成日時:2015年2月14日 22時