00…オレンジ色の君 ページ2
***
『す、すきです！』
『好きだ！』
『…なあ、俺もう限界』
***
「限界、ね。 私はとっくに限界だったけどさ」
《なあ、いつになったら振り向いてくれんの？ 俺…もう限界。 Aさんを好きでいるの…もうやめる》
電話を掛けてきた、いつも勝ち気で俺様で…ピュアなあの子。
声が震えてた。 私のせいだけど。
あの子と私じゃたってる場所が違う。
私はあの子の隣に居るべきじゃない。
「…私からは離れられない。だから天馬から離れてくれることを願ってた。 …なのに…私ってずるいな」
涙が、止まらない。
***
ずっと好きだった。
はじめて出会ったあのときから。
俺はあの人だけが好きだった。あの人に認めてもらいたかった。
ずっと、まっすぐ気持ちを伝えてきた。
俺は演じる人間だけど、あの人の前でだけは…。
「…けど、伝わらなかった」
「あ？ 何か言ったか？」
「なんでもない。 …なあ、万里さん。何度伝えても伝わらない事を伝えるにはどうしたらいいと思う？」
「はぁ？ 何の話だよ」
「…なんでもない…」
俺はなんて答えたらいいかわからず、うつむいた。
万里さんは頭をガシガシとかいてため息をつく。
「あー…何回言ってもダメならダメなんじゃねぇの？ フツーは」
「！」
「…それか、あえて伝わってないふりしてるとか？」
「うお！？ 至さん、急にわいてくんなよ…」
「万里ー、俺は虫か何かなのかな？」
「虫とかウケる」
「万里うざい。 …で、何の話？」
「さあ？」
…あえて気付かないふりをしてる？
俺がガキだから？
俺じゃ、隣に立つことすらできないのか？
なあ…Aさん。
教えてくれよ。
***
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作者名：黎泉 杠 | 作成日時：2020年4月1日 13時
