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「おとーさーん！ お客さーん！」
黒崎一心が娘の遊子(ゆず)にそう呼ばれたのは、午後の診療も一段落し、ふう、と息をついた時だった。
診察室の入口から遊子が顔を覗かせる。
「お父さん、お客さんだってば」
「患者じゃなくて？」
「うん、綺麗な女の人」
帰って来たばかりなのか、ランドセルを背負ったままの遊子が、目をぱちくりさせながら言った。
娘の言う訪問者に覚えがなく、一心は首を傾げながら立ち上がる。
「お兄ちゃんの学校の制服着てたよ」
診察室から出る一心の背中にかかる遊子の言葉に、一心は更に首を傾げた。
「───お、まえ……」
玄関に立つ訪問者に、一心の声が掠れた。
血のように深く、宝石のように輝く紅い瞳が、一心に向けられる。
「久しぶりだな、一心」
「……凛……」
訪問者──凛──は、昔と変わらぬ姿でにこり、と微笑んだ。
「少し、いいか？」
小首を傾けた凛に、一心は頷いた。
ことり、と珈琲の入ったカップを凛の前に置くと、ありがとう、と彼女が微笑む。
その様子に、はあ、と一心は溜息をついた。
「おい、凛。なんだってお前、制服なんて着てるんだ？
おかげで、可愛い娘たちからの視線が痛いじゃねぇか」
診察室の扉をきっちりと閉め、椅子に腰掛ける凛の向かいへと座る。
それは悪かった、と呟きながら、凛は身につけている制服に視線を落とした。
「高校に行ったんだ。
だから目立たないように制服を準備してもらった」
「目立たないようにって……」
顔を上げた凛を見て、一心は苦笑いを浮かべた。
確かに、彼女の外見は高校生に見える年頃だが、その紅い髪も瞳も、とても普通の女子高生が持ち得るものではなかった。
それは、制服を身につけることによって、よりいっそう目立っているようにも思えた。
「髪、紅くなったか」
するり、と白い手をカップに伸ばす凛に言えば、彼女は、ああ、と短く返事をする。
珈琲をひとくち飲んだ凛の、紅い瞳が真っ直ぐに一心へと向けられる。
「お前は老けたな」
す、と紅い瞳が細められる。
「……二十年振りに会うんだ。そりゃあ、老けるさ」
「人間、ならな」
「……………」
彼女の言おうとしていることが解り、一心は膝の上で拳を握りしめた。
「一心、その身体は何だ？」
彼女のその問いに、一心は一瞬押し黙り、しかし、事の顛末を話すことを決めた。
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日番谷冬獅郎が大好きな人 - この続きめっっっっっちゃ気になります。更新頑張ってください！ (2020年3月16日 20時) (
レス) id: eedc890ee9 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - この続きが気になります。更新頑張ってください。 (2019年2月25日 21時) (レス) id: 2f8fc0f3db (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - あれから更新されてませんが？大丈夫ですか？更新復活できるように頑張ってください！応援しています！ (2019年2月19日 19時) (レス) id: e63f949200 (このIDを非表示/違反報告)
ri_n(プロフ) - 稀代さん» コメントありがとうございます(*^^*) 亀更新ですが、頑張ります。 (2018年10月2日 15時) (レス) id: a553a04bd8 (このIDを非表示/違反報告)
稀代(プロフ) - めっちゃ好きです！更新楽しみにしています！頑張ってください！ (2018年9月28日 20時) (レス) id: 409dd2a048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ri_n | 作成日時：2018年9月14日 18時
