俺が守るよ ページ9
わたしがまだ幼かった頃、お父さんが天国へと旅立ってしまった。
お母さんと大喧嘩をした次の日、出勤途中の道で飲酒運転の軽自動車に轢かれて…。
スピードが出過ぎていたその車は、いとも簡単にお父さんの体を宙に弾き飛ばして、
お父さんは即死だったと後から聞いた。
喧嘩をしたままお父さんを亡くしてしまったお母さんは、毎日泣いて、可哀想なくらい泣いて、
ごめんねって、愛してるって、もっとちゃんと伝えればよかったと、毎晩お父さんの写真を抱いてはそう零していた。
それからはお母さんとふたり、辛くて寂しくて、寒い寒い毎日を過した。
「もう大丈夫。Aのことは、おれが守るよ！お兄ちゃん、だからね」
そう笑う湧ちゃんと家族になったのは、中学生に上がるちょっと前のこと。
あの寒くて寂しい日々は、湧ちゃんたちのあったかい笑顔に包まれて終わりを告げることになる。
お母さんの様子を気にかけてくれていた会社の部長が湧ちゃんのパパで、あまりにも衰弱していたお母さんと、わたしのことも心配してくれて、それからはよくご飯に連れて行ってくれたり、色んなところに遊びに連れてってくれたりもした。
湧ちゃんのお母さんも、まだ湧ちゃんが小さい時にいなくなってしまったんだって言っていた。
わたしのお家と一緒だね、ってそう言ったわたしの頭を撫でた湧ちゃんのパパの手。
あったかくて、大きくて、お父さんみたいで、なんだか無性に泣きたくなったのを覚えてる。
それから数年が経って、お母さんにも笑顔が増えて、湧ちゃんたちとも毎週のように会うのが当たり前になっていた頃。
その日は、卒業式の為に買った赤いワンピースを着て鏡の前でくるくるしながらスカートを翻して遊んでいた。
鏡越しにお母さんが、おっきくなったねって笑うから、なんだか照れ臭くて。
思わず俯いたわたしの肩を、お母さんが優しく包む、
「お母さんね、湧ちゃんのパパと結婚しても、いいかな…？」
『わくちゃんと家族になるの？』
「そう。湧ちゃんと、湧ちゃんのパパと、４人で」
『いいよ！だって、わくちゃんもパパも、だいすきだもん！』
「そっか、そうだよね。そうだよ、ね」
お母さんは泣きながら笑って、わたしを抱き締めた。
湧ちゃんたちと居るようになってから、はじめて私のまえでお母さんが泣いた瞬間だった。
あの頃とは違う、幸せであったかい涙だった。
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アオ(プロフ) - もちゃさん» ありがとうございます！続編でも、楽しいをお届けできるよう、更新がんばります(^^) (2020年11月22日 1時) (
レス) id: 72f4fb8b9f (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - ゆさん» コメントありがとうございます！続編公開致しましたので、ぜひ楽しんで頂けたら幸いです(^^) (2020年11月22日 1時) (レス) id: 72f4fb8b9f (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。続編公開致しましたので、ぜひ楽しんで頂けたら幸いです(^^)嬉しいコメントにお応え出来るよう、続編の更新もがんばります！ (2020年11月22日 1時) (レス) id: 72f4fb8b9f (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - S_uchimura**さん» 無事に続編公開致しました！いっぱい感想ありがとうございます(^^)うれしいです！読者様のお声を励みに続編の更新もがんばります！ (2020年11月22日 1時) (レス) id: 72f4fb8b9f (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - kisaさん» 続編でも、平塚くん、内村くん共にたくさん活躍させる予定ですので、楽しんで頂けたら幸いです(^^)コメントありがとうございます。 (2020年11月22日 1時) (レス) id: 72f4fb8b9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ
| 作成日時：2020年11月18日 22時
