がんばったね ページ43
「おねえさん、死にたいの？！」
私の腕を力強く掴んだ手に、手摺りのそっち側まで引き戻されて、
大きな声を目で辿れば、学生服姿の綺麗な顔をした男の子。
驚いたような表情を零す彼は、こんな寒いのにあんなとこ入ったら死んじゃうよ！なんて。
必死にそうわたしに声をかけてくるけど、
『わたし、しにたいの、かな。わかんない、』
「………」
『わかん、ないの…』
訳の分からないことを零しながら、
その場にずるずるしゃがみこんでしまった私の視線に合わせてしゃがんだ彼。
掴まれたままの腕が、寒くて寒くて、小刻みに震える
「よしよし、」
私の腕を掴んでるのとは反対の手で、何故か私の頭をポンポンと撫でた学生服の彼。
がんばったね、って、名前も知らないこの子の優しい声が鼓膜を刺激して、
『っ、つかれ、た』
「うん」
『わた、し！つ、かれたっ、もう、つかれたっ！』
「うん。おねえさんがんばったね、がんばった。」
鼻の奥がツーンってして、視界がぐらぐら揺れて、
目の前の綺麗な顔がぼやけて歪む。
ずっと泣けなかったはずなのに、彼の手と声に何故か酷く安心して、
声を上げて疲れたと泣く見知らぬ大人に、彼がどう思うかなんて、もうそんなこと気にすることすら出来なかった私を、ぎゅっと抱き締めた彼は、
ただ私が泣き止むまで、ずっと背中を摩って、がんばったねってそう言ってくれた。
誰かにこんな風に褒めてもらったのは、きっと子供の時以来だなって。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 976人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「渡辺翔太」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオ(プロフ) - S_uchimura**さん» こっちのお話は流れもなにも決めてないまま思い立ったらダラダラと執筆している状態なので、相変わらずマイペース更新ですがお待ちいただけたらと思います(;_;)ふわふわ男子高生内村くんをお楽しみいただければ幸いです(笑) (2021年1月7日 18時) (
レス) id: 72f4fb8b9f (このIDを非表示/違反報告)
S_uchimura** - 久々の更新かな、？今回もキュンキュンしました笑*胸キュンシーンで変にかっこよく無くていっつもみたいにふわふわしてるのが颯太くんらしいですよね笑(語彙力捨ててきた？)また更新楽しみにしてます！ (2021年1月7日 12時) (レス) id: bbe13c8768 (このIDを非表示/違反報告)
ぱ た(プロフ) - 続き気になります ‥ ！ (2021年1月4日 5時) (レス) id: 99d7cdb867 (このIDを非表示/違反報告)
S_uchimura** - 幼き頃のうっちー良すぎるよ、、、私もこんな人に出会いたかったとか言ってみる(( (2020年11月27日 22時) (レス) id: 853e6a6e99 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - S_uchimura**さん» 内村くんは悪気なく言っちゃいけないことペラリそうなイメージです(笑)翔太くんと主人公ちゃんとの会話はわたしも書いていて楽しいです！(笑)引き続きお話お楽しみいただけたら幸いです(^^) (2020年11月22日 13時) (レス) id: 72f4fb8b9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アオ
| 作成日時：2020年11月18日 17時
