気分いいから飲も ページ19
「この日に海に入ると神様にクラゲにされて、海に溶けて死んじゃうぞーって迷信」
『クラゲ、』
「なーんか毎年たまたま水難事故が多い日なんだよね、昔から」
いつもは騒がしい広間。
昨日遅くまで飲んでいたのかまだ寝静まってる海の家組は起きてくる気配もなくて、
ベランダから海を眺めてる皇輝くんがそんなことを零す背中を見つめる
「だからいつからかわかんないけど、この日は地元みんな遊泳禁止っていうのが暗黙の了解で、海まわりは全部休みなんだ」
『なるほど、』
「まあ、関係ないお客さんは全然海入るけどね」
海風が揺らす皇輝くんのサラサラした黒髪。
手すりに頬杖をつく皇輝くんの背中はなんだか悲しそうで、
『…皇輝くん？』
「皇輝、Aちゃん、朝飯食お」
「Aちゃん嫌いなものあるっけ？」
『あ、いえ！特には！』
皇輝くんが振り向いた瞬間、ご飯を乗せたおぼんを持ってきた檜山くんとナミさんの姿に笑顔を零した皇輝くん。
「うぅ〜、頭いた」
「マツリ飲み過ぎだったもん。よく起きれたね」
「ばなさんも嶺亜くんもいないのにさすがにサボれない」
「二日酔いでサボったなんてバレたら絶対嶺亜くんにしばかれるよ」
怖ー！なんて肩を竦めてるナミさんとマツリさん、
いいから座れよって檜山くんに肩を叩かれて、みんなで囲んだテーブルにはちょっとだけ豪華な朝食が並ぶ。
「ナミとマツリで作ったんだって、Aちゃんに」
『え！そんな、』
「だから、その…許してやって？」
『許すも何も、怒ってないですよ、わたし！』
ほっとしたような表情をこぼす檜山くんと、優しく笑った皇輝くん。
ごめんねって口々に言うナミさんたちに、なんだかいたたまれなくて、
食べましょう！おいしそう！って声をあげれば嬉しそうにふたりが笑った。
みんなで手を合わせたちょっと遅めの朝ごはん。
囲んだ食卓はたのしくて、おいしくて、やっぱり来てよかったな、なんて。
「よし、なんか気分いいから飲も」
「は？バカだろお前」
「休みなんだからいーじゃん。迎え酒だよ、迎え酒」
「頭悪っ」
台所の冷蔵庫から翔馬くんのストックしてる缶ビールを持ってくると楽しそうにプルタブを空けるナミさんと、
嫌そうな顔で盛大にため息を吐いた檜山くんの小競り合いに、みんなの笑い声が響いた。
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ゆう - このお話が大好きで未だに何度も読み返しています。アオさんの紡ぐお話をまた見れる日が来るかは分かりませんが、今でもずっとだいすきなお話です。 (12月25日 15時) (
レス) id: 9b89e968b5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぴ - お話終わってしまったんでしょうか？続き気になります＾＾ (2022年8月6日 3時) (レス) @page24 id: d3cdc5c0b2 (このIDを非表示/違反報告)
りぴ(プロフ) - はじめましめ！おはなし一気に読まさせて頂きました。本当に描写も言葉も引き込まれる作品で、この作品の虜になりました！もう更新はされないのでしょうか、、？（ ; ; ） (2022年1月29日 23時) (レス) id: 46981ee839 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ずっと待っていたので嬉しいです！ (2021年11月20日 21時) (レス) @page24 id: 034faa10a9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 初めまして。更新ずっと待っていました！☺︎アオさんの書くお話が1番好きなのでこれからも楽しみにしています！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 334d2140a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ
| 作成日時：2021年2月12日 4時
