言い伝えみたいな ページ17
ぎゅっと何かにしがみつかれている感覚がして、
薄く開いた瞼の向こうに見えたのは、柔らかい癖のある髪。
まだぼんやりしている意識のまま、手を伸ばしてふわふわとしたそれを撫で付ければ胸元に埋まる顔に、
我ながら結構大胆なことしたかもしれない、なんて。
今更ひとりで恥ずかしくなって、遠慮がちに頭を撫でていた手をすっと引くと、
どうしよう、完全に行き場を失った
「…はち」
『は、はい』
「なんじ？」
『今ですか？今、』
顔は埋めたまま、胸元から聞こえるくぐもったうっちーさんの声に、起きてたの？！って
びっくりしたまま壁掛けの時計を見れば朝の６時をちょっと過ぎた頃。
『ろ、６時です…』
「…あそ」
私の腰辺りをぎゅっとしていた腕が解かれて、変な位置で宙ぶらりんになっていた私の手を掴むと、そっとうっちーさんの頭に戻された手。
撫でとけってことかな？
遠慮がちにそこを撫でれば、また満足したように腰に回った腕に、
「…うるさい」
『な、なにも喋ってないですけど』
「心臓、うるさい」
もう！！
呟かれた言葉に勢いよく頭から離した手と、慌ててうっちーさんの肩を押せば、ちょっとだけ赤くなった瞳と目が合うから、
『っ、よく眠れましたか！！』
「なに怒ってんの」
『べつに怒ってないです！！』
起き上がった勢いのままベッドから飛び降りれば、やっぱり恥ずかしくて、
赤くなった顔がバレてしまわないように、うっちーさんに向けた背中。
『って、めっちゃ水溢れてますよ！』
「…昨日たおした」
『倒したなら拭いてくださいよ』
床に転がったペットボトルと、その口からこぼれてしまってる水に、
ここの人たちってこぼしたやつ拭けないの？！って、いつだかの黒田くんを思い出すから、
ドキドキとうるさい心臓を誤魔化すように、大袈裟に溜め息をついてそこにしゃがみ込んだ時だった、
『っ、』
後ろから骨っぽい胸元に包まれた身体と、伸びてきた手に顎を掴まれて、
くいって顔を後ろに向けられたと思った瞬間、一瞬だけ重なった唇。
『な、』
「…やっぱり、へんなやつ」
な、なに今の！！！…意味、わかんない…
唇を押さえたまま固まる私を、やっぱり鼻で笑うと、頭にポンって乗っかった大きな手。
クーラーの効いた寒いくらいの部屋のなか、私だけが熱くて熱くて、このまま溶けてしまいそうだ、なんて
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ゆう - このお話が大好きで未だに何度も読み返しています。アオさんの紡ぐお話をまた見れる日が来るかは分かりませんが、今でもずっとだいすきなお話です。 (12月25日 15時) (
レス) id: 9b89e968b5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぴ - お話終わってしまったんでしょうか？続き気になります＾＾ (2022年8月6日 3時) (レス) @page24 id: d3cdc5c0b2 (このIDを非表示/違反報告)
りぴ(プロフ) - はじめましめ！おはなし一気に読まさせて頂きました。本当に描写も言葉も引き込まれる作品で、この作品の虜になりました！もう更新はされないのでしょうか、、？（ ; ; ） (2022年1月29日 23時) (レス) id: 46981ee839 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ずっと待っていたので嬉しいです！ (2021年11月20日 21時) (レス) @page24 id: 034faa10a9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 初めまして。更新ずっと待っていました！☺︎アオさんの書くお話が1番好きなのでこれからも楽しみにしています！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 334d2140a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ
| 作成日時：2021年2月12日 4時
