▼ ページ2
田「いやぁ、まさかの元彼再来とはねぇ〜？」
『黙れ小僧』
田「なんかめちゃくちゃいい男になってたしぃ？Aさんにもついに春到来？」
『は？本気でありえないから』
田「…ここでチャンス逃したらAさんまじで一生独身っすよ」
『余計なお世話』
仮に私がフリーだとしても、そもそもあいつにフラれたのは紛れもないこの私であって、チャンスもくそもないっつーの。
やる気のない田中の背中を引叩けばわざとらしく痛がる姿に、
ほんと翔太とそっくり、なんて。
田「まあ、でも目黒、まだAさんのこと引きずってるって噂ですし」
『フラれたのは私なのに引きずる意味がわからない』
田「そーいうとこっすよ」
溜め息と共に吐き出された田中の言葉に、思い出すのはあいつとの終わりで、
”なんか、Aは、…俺がいなくても大丈夫そうだよね”
『…はぁ』
田「俺はAさんと目黒、結婚すんだろーなって思ってたっすけどね」
『勘違い』
田「それは、失礼しやした」
『無駄口叩いてないで仕事しろ』
田「痛っ！もー！」
エレベーターが到着したと同時に田中の肩を叩いて追い出せば、
ブツブツ文句を言いながらフロアに降りていく後ろ姿にやっぱり溜め息。
目「あ、」
『っ、』
俯いた顔を上げれば、まさに今の今まで話のネタだったそいつの姿で、
目「…社長のとこですか？」
『は、い』
目「俺も」
ランプが示す社長室の階を見て、少しだけ気まずそうに苦笑いを零す彼に、エレベーターの奥まで背中をぴったりつけて取った距離。
困ったように向けられた背中に、やっぱり出るのは小さな溜め息で、
あーあ、颯太くんに会いたい
目「…結婚、しなかったって…聞きました」
『…まあ、うん。』
目「…ちょっと、安心した」
なんだそれ。
やけに静かに感じるエレベーターの中は、いつもの翔太や田中がいないせいだけじゃなくて、
もう、早く着いてよ。なんで社長室って最上階なわけ？、なんて
目「ずっと、後悔してた」
『なに、が』
目「…ごめん」
チン、って間抜けな音が鳴って小さく揺れたエレベーター。
お目当ての階に着いたのに、歩き出さない背中は珍しく俯いたまま小さく震えてるから、
『…降りれないんだけど』
目「っ、俺やっぱり、Aが、」
振り向いた瞳が揺れて、そっと掴まれた腕。
蓮の背中越しに、ゆっくり閉まっていくエレベーターの扉が見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「少年忍者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めい(プロフ) - わー！！！！更新してくださってありがとうございます！！！ずっと待ってました‥とても嬉しいです！好きです‥‥！！ (2021年9月16日 18時) (
レス) id: 6c44e7bf29 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - 面白いです！素敵な作品ですね更新待ってます (2021年4月10日 15時) (レス) id: 30cf67c532 (このIDを非表示/違反報告)
なるぽ(プロフ) - 好きすぎて何回も見返しちゃいます！投稿待ってます！ (2021年4月10日 7時) (レス) id: fa503700e0 (このIDを非表示/違反報告)
h - やっぱりこの作品が世界一好きです……いつかまた更新してくださる日を気長に待っています^ ^ (2021年3月22日 23時) (レス) id: 9a85b7fcb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アオ
| 作成日時：2021年1月7日 18時
