だって可哀想だったんだもん ページ16
「うわっ、びっくりした!!」
明け方まだアルコールの抜けない頭でぼーっと玄関を開ければ、死んだ顔の和田が電気もつけずに座り込んでる姿が見えた
「なに、どしたの?」
「もう疲れた俺」
でっかい溜め息の矛先には、俺のベッドで寝息を立ててるAで。
そういえば約束破っちゃった、なんて罪悪感。
「あー、…ごめん、」
「ごめんじゃないよ!ほんとに。…なんで抱いたりしちゃうかなぁ」
大変だったんだから!ってプリプリしてる和田のシャツはヨレヨレになってて、脱ぎ散らかされたAの服を集めながらまたでっかい溜め息を零す。
「…だって可哀想だったんだもん」
「可哀想って、」
「俺みたいだった」
誰かと身体を重ねることでしかぽっかりと空いた穴が埋められなくて、
誰かに縋っていないと、真っ暗闇に堕ちていってしまうような感覚がして、
あの日俺に縋ったAの唇は、冷たくて今にも消えて無くなってしまいそうだったから
涙を溜めた濁った瞳が、俺みたいだったから、
「不器用な生き方にも程があるでしょうよ、あなた達」
「…俺らは和田みたいに強くないもん」
同じ気持ちなら、寄り添ってあげたいと思った。
あとで虚しくなるのはわかってても、今はその震える身体を温めてあげたいと思った。
それだけ。ただ、それだけ。
「お前ら、結局傷付くだろ」
そうだとしてもさ、あの一瞬の暗闇が怖くて寒くて苦しくて、
誰かに寄りかかっていないと立っていることすらままならない感覚の中、ひとりでどうしろって言うんだよ。
和田にはわかんないんだろーけど。
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ぴぴ - 1番好きなお話です、完結待っています (2023年2月9日 23時) (レス) id: d9098e31de (このIDを非表示/違反報告)
なな - とても面白いので完結させていただきたいです (2022年6月15日 21時) (レス) @page39 id: 15d12ffd06 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 0さん» 飛んできていただけたなんて(; ;)まだ更新を待ってくださっている読者様がいると思うととても心強いです!!ありがとうございます(; ;)最後まで頑張りますのでどうぞお付き合い下さると嬉しいです!! (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - ゆゆさん» だいぶ登場人物が増えました…。作者も完全に終わりを見失っておりますが、まだ読んでくださっているようでしたらどうぞ最後までお付き合い下さると幸いです(; ;) (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 華子さん» だいぶ前のコメントに今更お返事ですみません。嬉しいお言葉ありがとうございます(; ;)まだ読んでくださっているようでしたら最後まで頑張りますのでどうか暖かく見守っていただければと思います! (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオ | 作成日時:2020年11月18日 16時