揺蕩う

どうもしてやれないよ ページ14

「っおも、」


「やだぁ」


「もー、ちゃんと歩けってば」



バナさん達が帰ってからしばらくして、漸く意識を取り戻したA
フラフラした足取りのこいつをなんとか抱えながら歩くけど、

もうほんとに重い。いくら女の子っつったって、俺はひ弱すぎる。
こういう時ガリガリな事が悔しい。


「やだぁ、かえらないぃ」


「帰るんだよ、ばか。ほら、歩いてよ。和田さん腕折れちゃうよ」


「おまえはひ弱なんだよばぁか！」


イラッとしたけど、酔っ払い相手だ、我慢我慢。


「…れいくんは？」


「帰ったよ」


「……あの子と、いっしょ？」



泣きそうになりながら俺の顔を見上げたA。
そんな顔されたって、俺にはどうもしてやれないよ



「…ほら、帰ろう」


「やだ。和田といる」


「やだ。帰る」


なんでなんでって、腰に抱き着いたAの腕。
甘い香水の匂いがして、急に女の子に見えるから、ほんとに困る。


「俺は奏じゃないの！ほら、帰るよ。」


「和田のばかあほきらいきらい」


「はいはい、わかったわかった」



グズグズと泣き出したAに思わず苦笑い。

ほんとに弱くて、どうしようもない奴だって思う。頭悪いなぁって。
俺じゃなかったら今頃ホテルで都合のいい女だよ。

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