ずっといてね ページ18
絶対また同じ結果で傷付くなんて、わかってる癖に。
学習せずに同じ事を繰り返してしまう指先は、気付けば緑色のアイコンを開いて、会いたいなんて。
「…しんどすぎ」
今日も奏の部屋、布団に丸まったまま溜め息を零せば
いつものように合鍵で入ってきた和田が私の姿を見つけて盛大に顔を歪める。
「また居るし」
「…和田だって、また来てるし」
部屋に荷物を下ろすなり散らかってる部屋を甲斐甲斐しく片付けていく和田は、小さく溜め息を吐きながら奏が脱ぎ散らかしたシャツを摘んだ。
「…お前らさ、似てるんだよほんと」
「わたしと奏?」
「…ほんとそっくり。」
枕に顔を半分埋めたままのわたしの視線に合わせるように、ベッド脇にしゃがみこんだ和田の手がポンと優しく頭の上に乗る
「な、に」
「だからほっとけないのよ。」
普通に幸せになってほしいだけなのにさ、俺は。
そう言って、乱暴にわたしの髪をくしゃくしゃとした和田は一瞬だけ苦しそうに顔を歪めた後、
何も無かったかのようにまた散らかった部屋を片付け始めた。
「…ねぇ、和田」
「んー?」
「好き、ってどうやったら辞められるの?」
「…辞めようって思って辞めれるもんじゃないでしょ」
和田の言葉に返す言葉も出なくて、ベッドから抜け出して煙草に火をつける。
立ち上る紫煙は、あの日の黎くんのように
ユラユラしてて、白くて、儚い
「もー、お願いだから服着て」
「和田着せて」
「馬鹿じゃないのほんとに」
そんな愚痴を零しながらも、下着姿のままでいる私にいそいそと奏のシャツを被せる和田。
今のわたしは、和田や奏がいなくなったらひとりでなんか生きていけないんだろうって大袈裟じゃなくて、ほんとにそう思う。
「わだ、」
「今度はなに?」
「ずっといてね」
わたしの言葉に困ったように笑う和田は何を思ったんだろう。
結局なにも言わない和田は、ぎゅっと一度だけ唇を噛んでから
またバタバタと片付けを再開させた。
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ぴぴ - 1番好きなお話です、完結待っています (2023年2月9日 23時) (レス) id: d9098e31de (このIDを非表示/違反報告)
なな - とても面白いので完結させていただきたいです (2022年6月15日 21時) (レス) @page39 id: 15d12ffd06 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 0さん» 飛んできていただけたなんて(; ;)まだ更新を待ってくださっている読者様がいると思うととても心強いです!!ありがとうございます(; ;)最後まで頑張りますのでどうぞお付き合い下さると嬉しいです!! (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - ゆゆさん» だいぶ登場人物が増えました…。作者も完全に終わりを見失っておりますが、まだ読んでくださっているようでしたらどうぞ最後までお付き合い下さると幸いです(; ;) (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 華子さん» だいぶ前のコメントに今更お返事ですみません。嬉しいお言葉ありがとうございます(; ;)まだ読んでくださっているようでしたら最後まで頑張りますのでどうか暖かく見守っていただければと思います! (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオ | 作成日時:2020年11月18日 16時