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置いてかないでよ ページ1

頭悪いなって、わりと自分でも自覚してる。


ひんやりとした外気に身体が震えて目が覚める、手繰り寄せた素肌に当たるシーツの冷たさにまたひとつ身震い



「ん、…さむいの?」


「さむい」



わたしの身動ぎで起きたのか、掠れた声で上手に開かない目を擦りながら抱き寄せられた先には奏の薄い胸板。
あったかい体温に、思わずその素肌に擦り寄った午前3時。



「みなと、寝れなくなった…」


「おれはまだねむい」


「ねれない」


「うるさい、ねなさい」


更にぐっと抱き寄せられた身体、長い腕と足がわたしに巻き付いて取れなくなる身動き

予告通りすぐにまた眠りへと落ちて行く奏の腕の中で溜め息



ああ、頭痛いな。また飲みすぎた。





「みなと、」



もう呼んでも返事は帰ってこなくて、気が抜けた奏の腕が重たく感じる

あれだけ飲んだはずなのに、今日もしっかり身体を重ねた私たちはただ、そんな夜に堕ちることしか出来なくて、
またやってしまったなんて後悔、いつからしなくなったんだっけ。


素肌を寄せて恋人のように寄り添ったって、
結局朝日が登ればそれ以上でも以下でもなくて、ああ、また虚しい。



「ちゃんと、連れてってよ」


「ん、…」



わたしも、眠りのなかに、ちゃんと連れてってよ。
こんなとこにひとりぼっちで置いていかないでよ。


寝息を零しながら無意識にわたしの頭を撫でる奏のおっきい手。
どんなに触れたって、どんなに近付いたって、こんな思いどうしようもないからただ奏の胸板に頬をぴったりとくっ付けたまま瞳を閉じる。



黎くんもさ、今頃あの子とこうしてるのかな



ねぇ奏、置いてかないでよ
しんどくて痛くて、泣きそうだよ。

迎えにきて、わたしも連れてって。


ぐるぐると回る暗闇のなかで、また小さく息を吐いた。

ゴミくず→



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ぴぴ - 1番好きなお話です、完結待っています (2023年2月9日 23時) (レス) id: d9098e31de (このIDを非表示/違反報告)
なな - とても面白いので完結させていただきたいです (2022年6月15日 21時) (レス) @page39 id: 15d12ffd06 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 0さん» 飛んできていただけたなんて(; ;)まだ更新を待ってくださっている読者様がいると思うととても心強いです!!ありがとうございます(; ;)最後まで頑張りますのでどうぞお付き合い下さると嬉しいです!! (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - ゆゆさん» だいぶ登場人物が増えました…。作者も完全に終わりを見失っておりますが、まだ読んでくださっているようでしたらどうぞ最後までお付き合い下さると幸いです(; ;) (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 華子さん» だいぶ前のコメントに今更お返事ですみません。嬉しいお言葉ありがとうございます(; ;)まだ読んでくださっているようでしたら最後まで頑張りますのでどうか暖かく見守っていただければと思います! (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アオ | 作成日時:2020年11月18日 16時

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