Fragile Girl (ページ6)

今日:21 hit、昨日:137 hit、合計:21,459 hit

＃６ページ6

［こちらです、どうぞ］

一緒に来た男性と、ドアの前に構えていたもう一人の男性が扉を開けた。

一歩、二歩、と踏み出すとそこには

映画の中でしか見たことのないような洋風のお部屋に、

とんでもなく長いテーブル

そこに間隔を広く空けて椅子が並べられ、

六石グループ一族の人達が既に座っていた。

私も椅子を引かれて着席する。

背筋がぴんと伸びるような、張り詰めた緊張感で周りを見渡す。

テーブルの一番端、いわゆるお誕生日席には会長。

右回りに、
パパのお兄さんである孝司(こうじ)さん

その奥様の雅子(まさこ)さん

二人の息子の律可(りつか)くん

律可くんの向かいに私

私の隣には、俯いて表情が見えない、パパ。

この空間がただならぬオーラを放っているのは＂子ども＂の私でも容易に感じ取れた。

会長「こんな風に家族揃って食事をするのは久しぶりだな。存分に楽しんでくれ。」

会長は気分がいいのか、にこやかにそう言い、食事が始まった。

あー⋯テーブルマナーってどうするんだっけ。

パパに聞こうにも、聞ける雰囲気ではない。

時は待ってくれず、会長の合図で前菜が運ばれてくる。

ナイフとフォークは外側から⋯
これは知ってるからできるはず。

周りを観察してから、見よう見真似で手をつける。

慎重に口に運んでいたが、3口目でテリーヌがぽろっと溢れて皿に落ちてしまった。

その瞬間、

？［⋯やっぱり碌な教養もないのねえ、］

完全に、私に向けられた言葉だ。

静かにあからさまな悪口を投げかけたのは、
雅子さんだった。

「⋯すみません」

咄嗟に謝罪の言葉を発したが、誰も、何も反応しない。

ただ、ちらっと冷ややかな視線を寄越して、また目の前のお皿に向かうだけ。

雅子［姿勢、カトラリーの使い方、食べ方、それに身だしなみも。指摘するところしかなくてうんざりだわ。］

まあ、、酷い言いよう。

このくらい。なんて言われようとよかったんだ。

でも。

雅子［⋯啓司さん、あんな女と駆け落ちするからこうなるのよ］

ママと、そしてそのママを選んだパパが悪く言われ、
全身に鳥肌が立った。