Fragile Girl (ページ14)

今日:51 hit、昨日:151 hit、合計:21,137 hit

＃１４ページ14

A side

学校を終えて家に帰って、自分の部屋で宿題をこなす。勉強は苦手ではないから、いつも放課後は部屋で勉強してる。この家で唯一、心が安定する時間。

数学の問題を解いていると、ドアがノックされた。

「はい」

ジ「ジェシーです。いまお時間よろしいですか？」

「…どうぞ」

よく話したことないけど、絶対わたしより年上なのに敬語を使われることにすごく違和感がある。わたしはこの一族のお嬢様じゃないのに。

ジ「失礼します。学校、お疲れ様でした。」

「はい、…あの、用件は、？」

手短に話を終わらせてもらいたくてこちらから促すと、ちょっと緊張したような面持ちでジェシーさんが話し始めた。

用件は、今日の夕食をジェシーさん達と食べないか、ということだった。ジェシーさんと、脱走した日に運転手だった高地さんと、他にも数人いるらしい。

正直、気は進まなかった。
かといって会長やお兄さん家族と食べるのも大嫌い。
どっちもどっちだし、と思って了承すると、ありがとうございます。とほんの少し緩んだ顔でお礼された。

それから。

ジ「⋯あの日、本当に申し訳ありませんでした。」

「え、？」

ジ「ご両親の代わりになれなくても守りたいって、その後すぐ裏切るようなことになってしまいました。」

ああ、そんなこともあった。唯一優しそうだと思った彼なら、万が一の時は頼れるかもと思っていた。

ジ「⋯この家の方達は立場もあって厳しい面が多いので、私がついているべきでした。ですが、あの日からずっと今も、A様をお守りしたいという気持ちに変わりはありません。」

この3ヶ月で捻くれてしまったわたしの心にもまっすぐ突き刺さってくる言葉だった。誠実な言葉に、わたしもなにか返さなければと思った。

「⋯あなたは優しそうだなって、思ってました。次の日からいないって分かった時は、ちょっと、悲しかった、です。」

わたしの言葉に、ジェシーさんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした後、すぐに少しだけ口角を上げた。

ジ「これからは、約束をちゃんと果たします。」

「⋯はい。」

ちょっとだけ、ジェシーさんとの心の距離が縮まった。