＃１３ ページ13
翌日の朝食会、俺は使用人のひとりとして配膳係で入った。昔からの知り合いで調理担当の恵子さんにA様の様子は既に聞いている。
…全く料理に手をつけないらしい。
サラダもスープもメインもそのまま返却されてくるって。学校でお腹空かないかしら、って心配してた。
この話を聞いていたから、俺なりに考えて料理を運ぶたびに、使うカトラリーを少し手前に引いて示したり、崩れやすいメインものは初めから一口サイズに切るようお願いして出したりしてみたけど、ひとくちも食べてくれなかった。
高「おかえり、どうだった？」
朝食会の仕事を終えて俺ら用の部屋に向かうと高地が仕事をしていた。
ジ「ダメだった、全く…」
高「そっか、」
ジ「…あ、こーち、お菓子持ってない？」
恵子さんもお腹空いてないか心配してたし、せめてお菓子を学校に持って行ってもらおうと、A様を追いかけた。
ジ「A様！あの、お腹空いてませんか？これ、学校で食べてください」
「⋯大丈夫です。いってきます。」
ジ「⋯いってらっしゃいませ、」
俺のアシストはあっけなく跳ね返されて車は走っていってしまった。
高「俺の大好物でもダメだったかー」
何もできない自分に腹が立って、むなしく手に残ったさくさくぱんだを高地に投げた。
ジ「⋯こんなんじゃ気引けないわ」
高「おぉい！俺のさくさくぱんだ丁重に扱えよ！」
ジ「てか、みんないつ来るの？」
高「あー、今日の夜には来る。でも北斗と慎太郎は無理だって、安定の残業。」
ジ「忙しいね、」
早くみんなのことも紹介して、打ち解けてもらわないと。…そもそもまだ俺も心開いてもらってないけど。
ジ「揃わないけど、今日からスタートね」
高「おっけー、用意するわ」
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作者名：スイ | 作成日時：2022年8月30日 2時
