もしも、あの日あの時【赤葦】 (ページ12)

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小学五年生-貴方side- ページ12

五年生になったら姉や君の姉、友達までもがバレーをやめた。

つまり、バレー教室に女子は私だけになった

毎日が、つまらなくなった。

バレーをやめたいと思った事もあった。
時には涙を流した。

コーチに怒られて、男子には避けられる。それがとても悲しかった。

冬のことだった。

バレー教室では、帰る前に体育館にモップをかけなければならない。

それも、一人一回。

私は、男子に避けられてるから、一番最後にモップを誰にも渡せなかった人が私に渡す。

渡す時は嫌な顔をして....

でもその日は違った。

君が一番最初に私に渡してくれた。

君は顔を少し赤くして

「ん...」

て言ってモップをさし出してくれた。

凄く嬉しかった。

その日を境に君は私にモップを渡してくれたりちょっと話をしたり、アイコンタクトをするようになっていた。

空っぽになりそうだった私の心にまた、新しい気持ちが積もった。

でも良いことだけじゃなかった。

コーチには度々怒鳴られるようになり、男子との差も生まれ始めた。

私はその理由で、バレー教室に行きたくなかった。

ちゃんと我慢していたのだが、日に日にまた私の心が欠けて行く。

もう、我慢できなくなった私は母の前で泣いてしまった。

その日の夜母にもうやめなさいと言われた。

冬もそろそろ終わる日に、私はバレーをやめた。

その日の帰り、私と目が合うと君は手を振ってくれた。

手を振ってくれたのは初めてだったから、凄くドキドキした。

その裏腹にもう会えないと思うと悲しくなって来た。

きっとこの日は人生で一番後悔した日だ