【TOKAI】無敵【YUYAMI】

22（Tom side） ページ24

違和感は、Aが車に乗り込んできた時からあった。それが何か聞かれると、分からない。けどなんとなく、いつものAじゃなかった。


助手席でずっと俺の話し相手をしてくれているときも、てつやくんの家に着いてからも、その違和感はずっと消えず。
ただ、具体的にどんなふうにおかしいのかと聞かれるとそれは分からないから、Aに直接理由をたずねることもできない。






終いには、りょうくんと買い出しから帰ってきたAは明らかに泣いた後のような顔で、違和感は募っていくばかりだった。




一本目の撮影が終わって、少し休憩しようということになり、なんとなくAと並んで座る。…いや、とにかくみんなAと2人で話すタイミングを伺っていて いかに自然にAを独り占めできるかということに全力を注いでいる。だからなんとなくではなく、必死に陣取った隣だ。







「A、」

「ん？」

「明日はどうする？」

「撮影ないっけ」

「うん」

「んー、みんなに合わせる！」






…ほら、違う。
いつもなら あれがしたいここに行きたいとはしゃぐのに。








「…どうしたの、？」

「え」

「いや、わたしの顔じーっと見つめてくるじゃん」

「いや別に」




え〜そんな可愛いかなあわたしの顔！とニコニコ笑うAに かわいいよと返せば、いつもの通り仏頂面になり 嘘つきめと睨まれた。





「ほんとだって言ってるじゃんいつも」

「オイオイ女泣かせの中村〜しっかりイケメン担当こなしてるね〜」

「チクショー聞けよ」





んー？と首をかしげるA。
ニコニコと なんも聞いてなかったよって顔でこちらを見つめる。いや可愛いんだけどね。そうやって色んな男からのアプローチをふざけてかわしてきてる感じが めちゃくちゃそそるんだけどね。


…きも、俺。








「夕闇の方ではなに撮るの？」

「大喜利」

「うわ審査員がいい」

「だめだって お前の大喜利需要あるんだから」

「…千葉よりスベるからでしょ？」

「まあね」

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