【TOKAI】無敵【YUYAMI】

1（M side） ページ2

「…虫さぁん、」

「だからさ、そういう泣きそうな顔はちゃんと落としたい男に見せればすぐ彼氏できるんだってば」

「落としたい男がいないんだもん、でもさみしいんだもん」

「寂しい寂しい言ってる女ムリ」

「キビシ〜〜〜」





冒頭の泣きそうな顔をコロッと変えてけらけら笑い出すA。

事務所に打ち合わせをしに来たら、帰りがけにAに捕まってしまった。恋愛相談聞いてよ〜！なんて引きとめられて、別に時間はあったので編集しがてらAの話を聞くことにした。



Aは個人でチャンネルを持つYouTuberで、登録者はついこの間200万人を突破したはずだ。ただ本業はデザイナーで、色んなYouTuberのグッズのデザインを手がけている。我らが東海オンエアのTシャツも一度作ってくれた。あれはめちゃくちゃカッコよくて、ファンからの評判もいい。

そんなAに、なぜか僕は気に入られている。
Aが初期の頃から僕らのファンを公言していたことから、お互いUUUMに所属する前から交流はあった。夕闇と同じく僕らの後輩ポジション。だからなのか夕闇とも仲が良いし、というかAはYouTuberとの交流の幅が広い。
でもなぜか、僕はその中でも一二を争うほど仲が良い。これは僕の自惚れではない、たぶん。ちなみにAが親友を公言してるのはパオチャン のあーずーだ。



てつややとしみつがAをベッタベタに甘やかす中、僕はいつも一定の距離を置いていた。Aが、とかではなく単純に彼女がいたからだ。
それが逆にAに気に入られる要因になったらしく、本人曰く「冷たい方がそそるよね」だそうだ。冗談だとはいえ気持ち悪い。



僕の彼女とも知らぬ間に仲良くなっていたAは、彼女公認の女友達になったのだ。まあ、Aと話している時の彼女は楽しそうだし、僕もAとの会話は楽しいので今はこの関係に満足している。




そんなこんなで事務所に引きとめられた僕は、Aが持ってきてくれたコーヒーを飲みながら編集に勤しんでいる。
Aが恋愛相談なんてうたうときの話の9割はただの雑談だ。聞き流しても問題ない。
本人も「口がめちゃくちゃ動きたいって時があるんだよね」なんて言いながら同じ話を何度もしたり、あれ？それ前と言ってること違くない？なんて話をしたりとテキトーだ。

2→←彼女は、無敵

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