シン友 third (ページ7)

今日:14 hit、昨日:30 hit、合計:139,158 hit

○ ページ7

薄い黄色のヘルメット。

俺が選んだもので、誕生日にプレゼントしたら飛び跳ねて喜んでくれたのを覚えてる。

「ね、早く行こう優吾くん！」

「はいはい。」

俺も自分のヘルメットを被り、バイクに跨る。

久しぶりにAをバイクに乗せる。

前に乗せた時にはまだ女の子、って感じだったけどいま俺の腹に回るAの手は女性だった。

女性特有の柔らかい感触も、ふわりと香る柔軟剤の匂いも、俺を意識させるには十分だったけどそれを頭から消すように俺はアクセルを踏んだ。

「優吾くんー！」

「なにー？」

「どこ向かってんのー？」

大きな声で話すAにふふ、と笑みがこぼれる。

「もうちょっとで着くから楽しみにしててー！」

風の音で声が消されないように、負けじと腹から声を出せばAも笑っていた。

目的地までもうすぐ。

「着いた！」

「わああああ！」

目の前に広がる大きな海。

日が落ちる少し手前、まだオレンジにキラキラ光る海に子ども見たく目を輝かせているA。

実は俺の初恋相手だったりする。

本人には言わないけど、初めてAに出会ったとき。

白いワンピースを見にまとい、恥ずかしげに笑うのAを見て胸がきゅぅっと苦しくなったのを覚えている。