シン友 third (ページ49)

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『A、俺にも今度作ってよ。』

「んふっ、ふふふっ。」

「きも、なに1人で笑ってんだよ。」

「はいはい、そうですねー。恋愛経験ゼロの北斗にはどうせ分かんないよーだ。」

「…。」

「は、ちょ、なに、いっ、いたたたた！！やめて！ごめんって！」

調子に乗って、軽い口調で北斗をなじれば気に障ったようで両手で頭をぐりぐりやられて。力加減を知らないゴリラだけらそれはそれは痛くて。

ようやく解放された時にはもう涙が溢れかけていた。

でも私反撃しない、だってジェシーくんに、好きな人にあんなことを言われたあとだ。

いまなら嫌いな海老だっていくらでも食べれる気がする。ドンときやがれ。

お風呂上りらしく、まだ濡れた頭をタオルでまた拭き始めた北斗はどかりと私の隣に腰掛けた。

「あいつに作るときは失敗しないようにな。」

「うるさい！」

傍に置いてあったクッションをぽんと投げつけた。言われなくても分かってる。

「ヒステリーかよ。」

「恋する乙女の感情は忙しいんだよ。」

「へーへー。そうですか。」

北斗はまだ、髪を拭いてる。

おかしいな、いつもならすぐドライヤー行くのに。

「何。何かあったの？」

「あー、いや、その。」

歯切れが悪そうに床を見つめたまま北斗はぽそりと呟いた。

「有栖川が、元カレ探してるらしくてさ。」