シン友 third (ページ5)

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声と心ページ5

side Hokuto

『A見つかった。カフェにいるから。』

あまり話さない京本から、久しぶりに連絡が来たと思ったらたった1人の妹のこと。

こーちや樹が連絡してくると思っていたから多少驚いたが、それよりも妹の無事を確認することの方が先だ。

Aの様子を聞けば、怪我をしていて様子が少しおかしいとのこと。

俺は一度家に戻ってきたため、向こうに着くのはおそらく最後だけどまた全力で走り出した。

いつもなら柔らかい音を立てるドアベルも、激しく音を鳴らした。

「A！」「北斗…」

膝と手に絆創膏を貼り、ジェシーと慎太郎に挟まれてカウンターに座る妹を捉えると、安心からなのかどっと疲れがきた。

「はあ…」

よかった、本当に無事でよかった。

走りすぎのせいか、足の力がふっと抜けてしまう。

思わずそこにしゃがめば、ゆっくりとAが近づいてきた。

「北斗…」

同じようにしゃがんだAの手が、そっと俺の頭に乗る。

控えめに俺を撫でる手。

なんで連絡を返さなかったのか。

誰に泣かされたのか。

どうしてそんな怪我をしてんのか。

それらは喉まで出かかって思わず大きな声で詰め寄りそうになったけど、俺は深呼吸して落ち着かせる。

「…無事で、よかった。」

俺がいま1番伝えたかったこと。

ちゃんと笑えてるか不安だけど、なるべく怖い思いをさせないように笑顔を作れば同じようにAも笑った。

その笑顔は幼い頃から何も変わっていなかった。