シン友 third (ページ37)

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怪しそうな場所は、体育館倉庫か。

きっちり閉まっているその扉に手を掛け、何度か扉を揺らしてもびくともしなかった。

小さく舌打ちをして、誰もいない教官室にこっそり入って鍵を拝借する。

少し固い鍵を、手に力を入れて開けるとマットに頭を乗せて目を閉じるAの姿。

もしかして、手出された…？

「ねえ、A、A！」

Aの肩を軽く揺すりながら、何度も名前を呼ぶ。

しばらくすると、ん、と小さく声がした。

「A？よかった、大丈夫？」

優しく体を起こすと、数回目を瞬かせたA。どうやら眠っていただけらしい。

よかった、安心した。だけど、ぼーっとしたまま動かない。

「A！」

「…え。あ、ごめん、っ、」

反応してもらおうと、少し大きな声で名前を呼べばAはびっくりしたようで肩を揺らし謝った。

だけど、どこかおかしい。

じっと口元を見てみると、切れているようにも見える。もしかして、

「…切れてる、ここ。殴られたの？」

「殴られたっていうか、叩かれた？」

へへ、と笑うAはどうも無理をしているようにしか見えなくて胸が痛んだ。

「…ごめんね、A。」

「なんで慎太郎くんが謝るのよ。」

優しいAは俺を責めることはしなかった。

「…俺、佐藤にAの悪口言われて、そんな訳ないって思ってたけど声掛けずらくなっちゃって、それで、」

情けない、なんで言葉がこう、すっと出てきてくれないんだ。

「もういいよ。」

「…ごめん。」

「謝らないで、慎太郎くんはなにも悪くないよ。それに、私だって慎太郎くんのこと避けてたし、私の方こそごめんね。」

「ジェシーから、全部聞いた。Aが俺を避けてた理由。」