シン友 third (ページ23)

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○ ページ23

「…やって。」

「え、でも、」

「早く！やれって言ってんでしょ！」

ヒステリックに叫ぶ佐藤さんの声に怖気付いた周りの友だちは急いで動きだし、倉庫のドアを閉めた。

「…今日この近くに寄り付く人はもう誰もいないわ。せいぜい、そこで大人しくしてなさいよ。」

「ちょ、開けてよ！」

焦ってしまっては相手に優越感を与えてしまうだけって、痛いほどわかってるけどいまの私はそれどころじゃなかった。

衣装にポケットがないからスマホは鞄の中だし、ここは体育と部活以外で生徒が来ることはない。

文化祭だし当然体育はない。

そして文化祭の関係で体育館部活は今日は部活を行うことが出来ない。

こんな状態だから人が気づくのは早くても明日の朝だろう。

ただでさえ人が来ないのに、佐藤さんに友だちに私は帰ったとかいう嘘をつかれたら余計に見つけてもらうのが遅くなる。

ドアにぴったりと耳を付けていたら声が聞こえなくなったから、もうどうしようもない。

体操部が使うマットの上に座れば、思いのほかふかふかで私はそのまま後ろへ倒れた。

壁についてる小さな窓から光が射していて、かすかに文化祭を楽しむ生徒の声が聞こえていた。

腕時計もしてないし、いま何時なのかも分からない。

昔の人って時計ない状態で毎日生活していたわけだし、すごいよなあ。