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カードの心遣い ページ5

「勝手に吸収するなよアタシの相棒!!」

カードによって無許可でバイクを強奪され榴が抗議する。
ふと自分の隣にいる灰色のボールの表情が曇った気がした。といっても目でしか表情はうかがえないが。

「どうした」

榴が尋ねるとボールはあっけらかんと答える。

「いや、オレの相棒はどんな奴やったんやろうなって思っただけ」

このボールのようなマスコット、真の名ガルグイユはタロウカードの創造者、夛琅(たろう)から創られた存在だという。しかし現在ガルグイユは記憶を失っており、創造者 兼 元相棒である夛琅についてはほとんど思い出せないようだ。

「今はアタシが相棒でしょ」
「二股やん」
「シバくぞ」

ガルグイユの軽口にどちらからともなく笑みがこぼれる。

「よ〜し、帰ろ!」

しかし、どうやって家に帰ったものか。満身創痍の今、徒歩で帰るのは避けたい。

「カード使ってみ?」

ガルグイユに言われて思い出す。そう言えば捕まえたカードは使役できるのだった。

《我に帰路の交通手段を与えよ、輌!》

カードは淡く光りだし、魔法の力で消えた車両が戻ってきた。

「あれ、なんか……雰囲気違わん?」

現れたバイクへの違和感に持ち主の榴はもちろんガルグイユも眉を顰める。

そこにあるのは榴の愛車の面影を僅かに残したオートマチックのスクーターだった。

「勝手に改造するなよアタシの愛車ぁ〜〜〜!!!」

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作者名:東天紅こけ子 | 作成日時:2021年6月22日 11時

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