絶叫大爆走 ページ1
「いやあああああああああああああ!!」
少女、
その叫びをかき消すように鳴り響く甲高いエンジン音。これが悲劇の原因だった。
深蒼のなめらかボディと可愛げのあるまんまるヘッドライト。見た目はクラッシックで美しく、性能は慎ましくも排気量50cc以下の原動機付自転車。ただし
「止まってええええええええ!!!」
軽く力強いエンジン音と共に爆速で峠を走り抜けるバイクと黒いライダースジャケットに身を包んだドライバーの榴。整備万全だったはずが何故か突然ブレーキが効かなくなり、峠を意図せぬ速さで下っている。ブレーキ類が熱を持ち過ぎた、という問題ではない。ブレーキレバーもブレーキペダルもまるで凍り付いたかのように固まって動かなくなったのだ。鍵も同様だった。
ギア操作で無理やりエンジンブレーキをかけようとしたが、どういう訳かシフトダウンする毎にアクセルを捻ってもいないのにエンジンの回転数が跳ね上がるという怪奇現象が起こる上、ローギアにもニュートラルにも入らない。下り坂というのもあって止まることが出来ずにいた。
「ざくろ! こいつはもしかするともしかするかもしれへん!!」
背負ったリュックサックの中から響く硬質な声に榴は苛立ち混じりに叫ぶ。
「端的に言え!!」
「タロウカードかもしれん!」
「
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作者名:東天紅こけ子 | 作成日時:2021年6月22日 11時