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錦戸が開けた扉を閉められないままでいると、たんたんたん、と階段をおりる音が上のほうから聞こえてきた。
「あっ、亮おはよぉさん」
錦戸の2つ上の階に住む、彼と同い年の安田章大だ。
「おーい、亮、おはよー」
安田がもう一度挨拶をしたが、錦戸は振り払われた手を眺めたまま反応しない。
「なしたん?左手見つめて、お地蔵さんみたいに固まって」
安田が肩を叩くと、錦戸はようやく口を開いた。
「章ちゃん、オレ、もう」
そこまで言って、うわぁぁぁと悲鳴をあげ崩れ落ちる。扉のバタンと閉まる音が、階段に鳴り響いた。
「ちょ、亮⁉どしたどした、話聞かせて」
このように、安田は錦戸の良き友である。
そんな親切な友に錦戸は訴えかけた。
「森山Aがぁ、オレを見て嫌そうな顔すんねん!ひどいと思わん⁉」
グズッと息継ぎをする。
「でなぁ、森山さんが好きやねん!めっちゃ冷めてて怖いけどな、大好きやぁ!真顔は世界一恐ろしいけど!」
錦戸はもう支離滅裂である。矛盾だらけだ。
でも、安田はそんなグダグダな演説もしっかりと受け止め、理解して、優しく賛同する。
錦戸が安田によく相談や、アツイ話を持ちかける理由は、ただ仲のいい友達だからというだけでなく、あたたかい彼の性格も関わっているのかもしれない。
「そうかー、じゃあ僕からちょっとAちゃんに言うてみるわな」
コクコクと激しく頷く錦戸。
安田はAのクラスメートでもある。
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ぷうり - 頑張って下さい(⌒▽⌒) (2016年4月6日 16時) (レス) id: 55a7ed3532 (このIDを非表示/違反報告)
☆*:.。.楓.。.:*☆ - 応援してます! 頑張ってください( ´ ▽ ` )ノ (2016年4月5日 22時) (レス) id: 443f7e83fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青jam | 作成日時:2016年4月4日 19時