イケメンヨジャアーティストの正体２ (ページ29)

今日:44 hit、昨日:6 hit、合計:120,037 hit

９ページ29

.

ユタに教えてもらったフロアに行くと、一つだけ扉の閉まった部屋を見つけた。
ここはよくテヨンが1人で自主練する時によく使う部屋だ。
間違いない、ここにいる。

『あ！いた！！テヨン！！！』

「っっぅわ！…A、」

『……久しぶりだね、テヨン』

「うん、久しぶり…A、ほんとごめん、」

『ちょっと待って、謝るなら私が先。…今回の件で、心配かけて本当にごめんね、不安だったよね、』

　

久しぶりに間近で見るテヨン。その俯き顔を両手で少しあげてやると目が合う。少し痩せた気がする。
さっきまではこのイライラをどうぶつけてやろうかと考えていたのに、
こんな泣きじゃくる寸前の子供みたいな顔してたら怒れないよ…

「ううん、僕の方こそ……あんな報道、嘘だってわかってたよ。Aがそんなことするはずないって思ってる…でもそれ以上に、自分に自信がなかったんだ」

『自信？』

「ジミンくんたちとの関係に嫉妬してたんだ…君たち、僕と知り合う前から仲が良いでしょ？A、休みの日も彼等に割いたりしてるし、この間の撮影後の時とか…そういうの比べては自己嫌悪になってて…」

『っそんな、』

「連絡取らなかったのも、口を開けば理不尽にAに当たっちゃいそうで怖くて…ほんとカッコ悪くてイヤになる…」

あぁ、私はテヨンがどういう人間か分かってなかった。
他人を思いやりすぎて、自分の気持ちを疎かにする、
他人に対して愛情深い分、他人からの愛に飢えていて、
放っておくと孤立しようとする。
優しさで溢れた人なのに、どこか影のある彼。
その影を見せないようたくさん努力して、周りに愛を分け与えてくれる。
私は、そんな彼の影を光で照らしてあげる存在になりたくて、隣で並んで歩いて行くことを選んだんだ。

『…テヨン、私はカッコ悪いテヨンも何もかも全部知りたい、思ってることたくさん教えてほしい、』

「A…」

『私はどんなテヨンでもずっと好きでいる自信あるよ。だから他人と比べないで、テヨンは私の唯一なの…』

.