︎♥︎ 10 ページ10
なんか、佐久間が遠い。
阿部さんと関わるようになってから
私の部屋に入ることも減ったし
そもそも会話が最低限である。
高校の送迎は佐久間がしてくれているのだが
前までなら今日はどうだったとか誰かに絡まれてないかとか
しつこいぐらい聞いてきたのに、このところ無言。
明るく元気な佐久間がどこにも居ない。
｢佐久間｣
『どうされましたか』
｢…元気、ないね｣
窓の外は同じ服を着た同級生、
色の違うリボンやネクタイをつけた後輩が楽しそうに歩いている。
家に呼べるほどの友達も、休日に連れ添って出かけるほどの友達も
作ることを許されなかった。
けど、佐久間がその分一生懸命話してくれるから
私はそのことを深く気にとめずに済んだ。
｢佐久間が元気ないと嫌だ｣
体調でも悪いのか。
そうだとしたら、私のことなんか気にせず休んだらいい。
赤信号で止まった時に、そっとおでこに手を当てる。
びっくりして一瞬震えた佐久間がようやくこっちを見た。
｢熱はなさそうだけど｣
『ないですよ、俺は元気です』
｢でも、最近｣
『お嬢様が寂しい思いをしないようにと振舞っていました。
今はもう阿部さんがいらっしゃるので大丈夫かと』
信号が変わる。
優しくアクセルを踏む彼との間に薄い壁を感じた。
佐久間が張った壁。
…嘘つき。
私と居るの楽しいって言ったじゃない。
あの悲しげな顔とその言葉が嘘？
何を思い何を考えているのかさっぱり分からない。
阿部さんと近くなる度
佐久間が離れていく。
胸が痛んだ。
佐久間の視界の中心に居られないことが、
苦しかった。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
