︎♥︎ 7 ページ7
見たことの無い魚も
画面越しだけでしか見られない動物も沢山居た。
阿部さんは物知りで、
知らないものの前で立ち止まる私に名前を教えてくれた。
イルカショーも、ペンギンショーも、すごく可愛くて癒された。
普段は外と繋がるための携帯で
こんなにカメラのシャッターボタンを押したことは無い。
帰ったら佐久間に見せよう。
佐久間は水族館行ったことあるのかな。
『楽しかった？』
｢はい、とっても｣
『良かった。Aちゃんの笑顔が見れて俺も楽しかったよ』
｢でも私何もしてなくて…ちょっと申し訳ないです｣
『じゃあ、次はAちゃんが俺とのデート先考えて？』
そんなのがお返しになるのかな。
阿部さんはちゃんと私に寄り添おうとしてくれてる。
彼だって、色んな事情があったかもしれないのに。
｢分かりました｣
結婚はしたくないことに変わりない。
だけど、いずれそういう風に阿部さんを
見ていけたらいいかもしれないと思えた。
静かに流れる洋楽が、ダメだと思うのに眠気を誘う。
何もしていないのに寝るなんて失礼にもほどがある…
『…寝ちゃった』
スースーと寝息を立てる彼女をちらっと見て、微笑んだ。
連れ回してしんどくなかったろうか。
恋人を通り越して、まさか婚約相手が出来るなんて。
自分で選びたいと思う気持ちはもちろんあったけど、
じゃあ相手は？って考えた時にその考えをやめた。
向こうだって俺を好いて一緒になるわけじゃない。
だったら少しでも、俺でよかったと思ってほしい。
綺麗で気の強そうな見た目とは裏腹に、
中身はとても気遣いの溢れた素敵な女性。
笑顔は可愛いし、俺より何もかも小さいそのサイズ感も。
好きになれそうだった。
というか、もうなりかけている。
信号を曲がった先にある彼女の屋敷。
予定時間より10分オーバーしての帰宅。
お詫びしなければ。
『着いたよ、起きて』
肩を揺らしても、頬を撫でてみても起きる気配は無い。
インターホンを鳴らす前に開いた扉からは
朝も見送りに立っていた、ピンクの髪の従者が立っていた。
『無事にお帰りのようで何よりです。
お嬢様をお送りいただきありがとうございました』
『いえ、予定より少し遅くなってしまいすみません。
Aさんなんですが、少し前に寝てしまって起きなくて…』
『結構ですよ、俺が運びます』
俺より小さいその体がふわりと彼女を持ち上げた。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
