︎♥︎ 6 ページ6
阿部さんの連絡先を追加して
それとなくやり取りをして
いつの間にか決まっていたデート。
車で迎えに行くね、と文面まで優しい阿部さん。
佐久間に言って、水族館に行くのは
どういう格好がいいのか教えてもらって
メイクはナチュラルがいいって言われたからその通りにした。
『…行ってらっしゃいませ、お気を付けて』
｢うん。行ってきまーす｣
玄関を出れば止まっていた黒い車。
運転席から阿部さんが出てきて、わざわざ助手席の扉を開けてくれる。
｢ありがとうございます、今日はよろしくお願いします｣
自分で出来るのに、と思いつつも口には出さない。
『よろしくね？前の格好も素敵だったけど、
今日は違った感じで可愛い』
｢あ、あ阿部さんも…素敵です。ロングコートお似合いです｣
『ほんと？良かった…昨日すっごく悩んだの笑』
私より阿部さんの方が可愛い自信がある。
なのに、運転をし始めた彼は間違いなく大人の男の人。
寒くない？とか飲み物そこに買ってあるから、とか
彼だって周りに世話してくれる人は沢山いる立場のはずなのに
気の利き方が佐久間と同じレベルだ。
1時間ほどのドライブはあっという間で
気づいたら大きな建物の前に車が止められた。
『着いたよ』
｢運転ありがとうございます。お疲れではないですか？｣
『大丈夫、Aちゃんといっぱい話せたから楽しかった』
良い人。
そんな言葉がサラッと出てくるなんて
相当女に慣れてるか本気でそう思ってくれているかの2択。
『行こっか』
彼は先に降りて行きと同じように助手席側の扉を開けてくれる。
それだけじゃなく、ん！と手を差し伸べてくれた。
ほんとに佐久間みたい。
恥ずかしながらもその手をお借りして車から降りても、
その手は離れない。
それどころかぎゅっと握られ、指も絡められる。
｢あ、えっ｣
『…やだ？』
｢い、いえいえ。ただ慣れていないもので…｣
『俺もだよ』
慣れてないのに、こんなこと出来るんだ。
男の人って不思議だな。
もう既に何から何までしてくれている阿部さんは
チケットまで私の分も買おうとしてくれる。
口を開こうとするとしっ、と唇に人差し指を当てて
2人分の代金を支払った。
ありがとうございます、と素直に受け取って
蒼の世界へ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
