♥︎ LAST ページ41
体を揺さぶられてる。
私にはもう、戻る意識はないはずなのに。
…そっか、天国？
あぁでも、悪いことしたから地獄かな。
目を開けるのが怖い。
『ねーおきて、着いたよー』
大介の声がする。
ちゃんと一緒に来てくれたんだ。
なら、大丈夫かな。
瞼に差し込む鋭い光に導かれて目を開けた。
｢…あれ｣
『おはよ。思ったよりギリギリになっちゃってさ！
早く行かないと飛行機とんじゃうー』
｢待って、え？私…なんで生きてんの｣
『ホントにやるわけないでしょ笑』
行くよーと車を降りて助手席を開けてくれた。
降り立った先には飛行機と滑走路。
夜の闇は消えて、雲ひとつない青空が広がっている。
後部座席から荷物を取り出した彼は
小さなカバンだけを私に持たせて
キャリーケースをガラガラ引く。
その背中に問いかけた。
｢どうやって、ここまで来たの｣
気づいていなかった死への恐怖で気絶している間に
大介は一体どうやってあの場面を乗り切ったのか。
…なぜ、誰も追ってこないのか。
黒いコートを纏う彼が振り返って笑う。
『気にしなくていーの、』
隣まで来て空いている手で私の手を握った。
屋敷にいた時と同じ、ニコニコの笑顔。
なのに目には光がない。
『ずっと俺のそばにいてね？』
｢…うん｣
『俺がぜーったい守るから、大丈夫』
大介が言うならきっと大丈夫なんだろう。
聞いたって教えてくれないのなら信じるしかない。
もう、私には彼しかいないのだから。
『愛してるよ』
過去は捨てて
君とふたりで、未来へ行く。
私自身の人生は、今日から始まる。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿終
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
