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これじゃ、結婚したって何も変わらない。
何を犠牲にしたって構わないと言い切って
事業を拡大する社長たちの頭は皆同じ構造みたい。
…阿部さんのも。
『よいしょっと』
『何してる…？』
『えー？お望み通り死んでやろうと思って』
大介にふわっと後ろから包まれる。
額に当たる、死を呼ぶ鉄の塊。
何も怖くなかった。
心のどこかでこうなるんじゃないかって。
大介はきっと本気で逃げきれるとは思っていなかった。
各国にパイプを持つ阿部商事が相手ということは
文字通り世界中が敵なんだから。
それでもいい。
一時の夢でも、もしもの人生を体験できた。
…本当は、少しだけ期待していた胸を抑えて。
『だいすきだよ、すぐいくからちょっとだけまってて？』
分かった、と頷く。
セーフティの外される音。
阿部さんたちが叫ぶ声。
目を瞑って、最期のときを……
カチ、というどこか違和感のある音を最後に
私の意識は途絶えた。
･
･
･
シュー…と辺りが白く染まる。
それらは一番に彼ら二人の元へたどり着き、姿を隠した。
『おい…この煙、』
『にゃははっ、良かったあ持ってきてて』
『外に出ろ！毒ガスだ！！』
『誰が逃がすかばーか』
個人の戦闘能力は勝っても、頭脳と｢戦闘力｣では圧倒的に
不利なことなどハナから分かっている。
まともにやったって阿部が言った通り消されて終わりだ。
｢ 扉開きません！ ｣
『だーいじょぶ。これね、眠るように逝けるから
痛いのも血もないよ。安心して寝てね』
あーあ。聞いてないな。
無駄なのに。
父が建てさせた家はどれも要塞並みの堅固さを誇る。
その中でもここは特殊で、外はもちろん中からでも
鍵がなければ出られない。
どういう意図で作ったのか知らないが、現に役に立っているので良し。
どさり、どさり。
朽ちてゆく音がする。
『…じゃあね、邪魔してくれてありがと。
阿部に目黒。お嬢様の好意を勝ち取れず
誠にご愁傷さまでございました』
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
