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ギラついた目に訴えようと
口を開いた。
カチャリ、と彼の後ろで音がした。
光のない目で彼を見つめて
今私に突きつけられているものと同じものを
彼に突きつける。
『…はぁ。何でもいいけどとりあえずそれ下ろしてくんない？
どうせ引き金引けないでしょ。お坊ちゃん』
鳥肌が立つ冷たい声。
何で、大介がそんなもの。
『俺死んでもいいよ。でもAは渡さない』
銃を突きつけたまま、大介は私の隣に来る。
肩をそっと抱かれてほっぺたに優しく口付けが落ちた。
亮平さんの顔がさらに歪んだ。
『俺が死ななきゃなんないなら、もちろんAも連れてくから』
『気安く触んな…』
『なんで。俺のだよ。Aがそう決めたんだから』
『黙れ、黙れ黙れ！！』
私に向いていた銃口がくるっと後ろに向く。
お互いに死をぶら下げて、視線がぶつかり合った。
まるで、ドラマを見ているみたいだった。
『……引けば？俺を殺したら邪魔者いなくなるよ。
…賢い阿部様のことだから、その後どうなるかなんて
想像は出来ると思うけどね』
引いて大介の命を奪ったとしても
この世で最も重たい罪に問われた彼は
今までの人生以下の日々を送るだろう。
かと言って引かなければ大介を止める手段はない。
どちらを選ぶのか、息も詰まるような空気の中で
遠くからエンジンの音が聞こえてきた。
『…俺が、頭脳で執事ごときに劣るとでも？』
『確かに俺は引き金を引けるほどの冷徹な奴じゃない。
だから頭を使う。人を使う。数が居れば
俺自身で勝てなくたってお前を堕とせる』
そのエンジンは次々と、この家の前で止まった。
それと同時に駆けてくる足音が土足で踏み込んでくる。
ざっと、10人。
その中に1人見知った顔も居た。
｢…めぐろくん｣
『ありがとう目黒。お前のおかげでここに来れた』
｢え、？｣
『目黒家の仕事は、阿部商事に関わる全ての人の素性を調べること。
クリーンな会社でいるために重要な役割を果たしてくれてる』
阿部商事側の人間、だったんだ。
表情の読めない暗い顔はぴくりともしない。
目黒くんがここを突き止めたのか。
そっか…好きって言ってくれても
味方してくれるとは限らないんだね。
色々教えてくれてありがとう。
｢ねぇ大介、逃げられそうにないね｣
『…ねー。卑怯だね。そうやってのし上がってきたのかな』
きっとそうだね。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
