︎♥︎ 34 ※ ページ34
木々に囲まれたその家を
セピア色の満月が照らしていた。
ようやく起き上がることを許されて
見てみる周囲に、見覚えは無い。
｢ここ、何処？｣
『佐久間家の別荘だった場所』
｢へぇ…こんな奥地にあるなんてすごいね｣
後部座席の扉が開かれる。
少し乱れた佐久間の髪。
見開かれたままの瞳孔に、
何の根拠もなく大丈夫だと伝えたくなった。
車を出て、彼が扉を閉めて
こっちを振り返る。
緩んだネクタイをそっと引っ張った。
吸い寄せられるように近づいてきた頭を抱きしめて
幼子にするみたいによしよし撫でる。
早かった鼓動が徐々に治まっていくのが分かった。
｢…大丈夫。大丈夫だよ｣
突然、体が浮いた。
腰と膝裏に添えられた手が力強い。
家の中に入って迷わず私をベッドに下ろした彼が
体重をかけて押し倒してくる。
両手はシーツと彼の手に縫い付けられて動かせない。
おでこ、瞼、ほっぺた、鼻とゆっくり降りてくる佐久間の唇。
月に照らさられる彼の表情が妖艶で、他の何も考えられなくなった。
『…抱いてもいい？』
｢優しくしてくれるなら｣
『ん、がんばる』
唇が重なる。
離れては重なって、そのうち離れなくなって。
『舌出して』
唇だけじゃないものまで触れ合わせて、絡めて
私たちはどんどんシーツに沈んだ。
初めて見る男の人の裸体…というか佐久間の体がすごく綺麗で
あんまり目が見られない。
『恥ずかしいの？笑』
｢腹筋割れてる…｣
『触る？』
見られないくせに腕は伸ばした。
覆い被さってる彼の表情が一瞬歪む。
ツーっと沿わせれば、体がピクって反応した。
それがなんか楽しくて、何度も往復する。
『もー終わり。触り方興奮しちゃう』
再び縫い付けられた両手。
慣らされたそこにあてがわれる、熱いもの。
確かに彼が興奮している証が
私の中にゆっくり入ってくる。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
