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寝てくれて助かったとさえ思う。
正直言って今の姿は
あまり見せられたもんじゃない。
婚約者自らが追いかけてくるのは想定外だったし
あんな温厚そうな顔が懐から銃を取り出したのも
にわかに信じられなかった。
死という文字が遠い銃口から突きつけられる。
あいつは、本気でAと結婚するつもりらしい。
それがどんな理由かは知らないが
護衛も近辺に置かずかっ飛ばしてくるのだから
自分は相当彼を怒らせたのだろう。
だがこっちも本気だ。
彼女の答えは2度聞いた。
聞いた上で、変わらなかった。
俺のことを弱者だと思い舐められちゃ困る。
何も持たない俺だから、欲しいものには貪欲になれる。
他にもう何も望まない。
生涯彼女がそばにいればいい。
追ってきてもいいけど、無駄だよ。
あんたと出会うずっと前から好きなんだ。
ぽっと出のお坊ちゃんなんかに渡せない。
邪魔させない。
アクセルを踏む足を強めた。
もたついてるのか追ってくる兆しのないことをいいことに
光から逃れるよう、夜の道を走る。
目的地は本州の最北。
の、奥地の森の中。
父は金の羽振りが荒く、見栄を張る人だった。
別荘を国内にも国外にも幾つも作って
それでも支出が収入を越えることは無かったから
そのまま土地として所有していた。
倒産するとほぼ全ての土地を手放さなくてはならなくなった。
だが手放せば何とか返せるぐらいの額だったため
全ての別荘、及び本家は佐久間の名を外される。
今向かっているのは、元々佐久間家が別荘として保持していた場所。
大自然に囲まれたと言えば聞こえはいいが
言わば周りに何も無い不便な土地。
その後の買い手も居ないだろうと
一旦の隠れ蓑にする予定で計画に組み込んだ。
その後は空にでも飛んで
どこか2人きりで生きていける場所を探す。
早く、安心させてあげたい。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
